近年、住まいづくりのキーワードとして「ヌック」という言葉が注目されています。
仕事や育児、家事に追われる日々の中で、ふと一息つける「居場所」があるだけで、住まいの居心地の良さがぐっと高まります。
この記事では、ヌックの設計ポイントや活用アイデア、注意点をふまえながら、暮らしに寄り添うプライベート空間のつくり方を解説します。
ヌックとは?注目される「おこもり空間」の魅力
「ヌック(nook)」とは、家の中に設けられた「小さな居心地のよい空間」を指し、家にヌックを取り入れる家庭も増えてきています。
リビングや階段下、窓際などにこぢんまりとした空間を設けることで、読書や仕事、一人の時間をゆったりと過ごせる場所として人気です。
限られたスペースを有効に活用しつつ、個人の時間を大切にできる点が、多くの人々の心を惹きつけているのではないでしょうか。
なぜ今、ヌックが人気を集めているのか?
ヌックの人気が高まっている背景には、生活様式の変化と空間の使い方への価値観の変化があります。
特に新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えたことをきっかけに、「自宅の中に居心地のよい場所を作りたい」というニーズが急増しました。
RoomClip 住文化研究所の記事によると、ヌックに関する投稿と検索が過去5年間で20倍以上に増加しており、関心の高さが表れています。
広い空間よりも、自分だけの時間を楽しめる「ちょうどいい狭さ」が支持されているのです。生活の質を高めたいと考える多くの人にとって、ヌックは「心の拠り所」とも言える存在になってきているのではないでしょうか。
参照元:ヌックが実現する「家族時間」と「自分時間」の両立。見えてきた新しい共有スペースの在り方とは | RoomClip住文化研究所
ヌックを取り入れる3つのメリット
ヌックを暮らしに取り入れることで、住まいの快適性や家族との関係性にさまざまな良い変化が生まれます。
限られたスペースを有効活用しながら、自分らしい過ごし方ができるのがヌックの大きな魅力です。
特に、家族の気配を感じつつもひとり時間を楽しみたい方やスペースの無駄をなくして暮らしの質を上げたい方にとっては理想的な空間です。
ここでは、ヌックを設けることで得られる主な3つのメリットを紹介します。
家族とつながりながら一人の時間を楽しめる
ヌックのメリットは、「家族と一緒にいながら、自分の時間も確保できる」という点にあります。
例えば、リビングの一角にヌックを設けることで、家族の団らんを感じつつ、読書や趣味に集中することが可能になります。
完全に仕切られた個室とは違い、家族とゆるやかにつながりながら過ごせるため、子育て中の方や在宅ワークをしている方にとっても大きなメリットです。
「近くにいるけど干渉しない」この距離感が、現代の家族の在り方にマッチしているのではないでしょうか。
階段下などのデッドスペースを有効活用できる
注文住宅を検討する中で、階段下や廊下の隅など、どう使えばよいか悩ましい「デッドスペース」が存在することは多いものです。
ヌックはこうしたスペースの有効活用にぴったりの選択肢です。1〜3畳ほどのスペースがあれば設置可能で、インテリアの一部としても空間にアクセントを加えてくれます。
収納ではなく「過ごす場所」として活用することで、暮らしに余白と温もりをもたらします。
ちょっと腰掛けて休んだり、趣味に没頭したりと、デッドスペースが豊かな居場所に生まれ変わります。
キッズスペースや書斎など多目的に使える
ヌックは、コンパクトな作りから用途を柔軟に変えられるというメリットもあります。
子どもの遊び場としてキッズスペースにするのはもちろん、在宅ワーク用の書斎やPC作業スペース、趣味に使うアトリエ的な空間としても活用可能です。
また、来客時には収納スペースや仮の客間として利用するなど、使い方は家庭によって変えられます。
家族構成やライフステージの変化にも柔軟に対応できる点は、長く快適に暮らすための重要なポイントと言えるでしょう。
知っておきたいヌックの3つのデメリット
ヌックは魅力的な空間である一方で、導入にあたってはいくつかの注意点もあります。
間取りや設計によっては、思わぬデメリットが生じることもあるため、事前に理解しておくことが大切です。
特に費用面やスペースの使い方、使い勝手については、計画段階からしっかりと検討しておきましょう。
ここでは、ヌックを取り入れる前に知っておきたい3つのデメリットを解説します。
費用がかかる
ヌックを注文住宅で設ける場合、通常の間取りにはない設計や施工が必要になるため、追加費用が発生することがあります。
例えば、床の小上がりやカウンター、照明の工夫など、細部にこだわるほどコストがかさむ傾向にあります。
また、断熱やコンセントの配置なども考慮する必要があり、結果的に全体の建築費用が上昇することもあります。
コストに対してどれだけの満足感や実用性が得られるかを見極めたうえで、導入の是非を判断することが重要です。
居住スペースや収納が狭くなる可能性
ヌックを設けるためには、既存のスペースを一部割く必要があります。
その結果、他の居住スペースや収納エリアが狭くなる可能性があります。
特に床面積に限りのある住宅では、リビングやダイニング、収納スペースとのバランスを慎重に見極める必要があります。
ヌックの設置が、生活動線や家族の動きに支障をきたすことのないよう、事前に間取り全体をシミュレーションしておくことが大切です。
活用できずに物置になってしまうケースも
「なんとなくオシャレだから」「流行っているから」といった理由でヌックを設置してしまうと、実際にはあまり使われないということもあります。
とりあえず作ってみたものの、生活に合わず、いつの間にか物置化してしまうケースも少なくありません。
せっかく設けた空間が活用されなければ、コストとスペースの無駄になってしまいます。ヌックの設置には、「誰が、いつ、何のために使うのか」を明確にしておくことが重要です。
また、将来的に用途を変更しやすい設計にしておくと、使い勝手の幅が広がります。
居心地のいいヌックを作る5つのポイント
ヌックを快適に活用するためには、ただスペースを設けるだけでなく、設計やインテリアの工夫が必要です。
目的に合ったレイアウトや雰囲気づくりを行うことで、「居心地のいいヌック」は自分だけの癒し空間になります。
ここでは、ヌックをより魅力的にするための5つのポイントを紹介します。
ポイント1:目的を明確にする
まず大切なのは、「ヌックを何のために使いたいのか」という目的を明確にすることです。
読書や仕事、子どもの遊び場など、用途によって必要な広さや設備は大きく異なります。
目的があいまいだと、活用頻度が下がり、せっかくのスペースが持て余されてしまうこともあります。
例えば、読書スペースであれば照明の工夫が必要ですし、仕事用であればコンセントやWi-Fi環境が重要になります。
最初にしっかりと「使うシーン」をイメージすることが、理想のヌック作りの第一歩です。
ポイント2:他の部屋と別空間にする
快適なヌックにするには、使用目的に応じた設計やインテリアの工夫が欠かせません。
例えば、リビングの一角にヌックを作る場合でも、床の高さを変えたり、壁の仕上げ材や色を変えることで、視覚的に「別の空間」であることを印象づけることができます。
また、天井を低くしたり、入口をアーチ型にするなどのデザイン性を加えることで、より「こもり感」や「安心感」が強まります。
完全に仕切るのではなく、ゆるやかに分けることで、空間の一体感と独立性を両立させるのがポイントです。
ポイント3:広さは2〜3畳が目安!「こぢんまり感」が重要
ヌックに適した広さは、一般的に2〜3畳程度とされています。
広すぎるとただの部屋になってしまい、ヌック本来の「こぢんまりした落ち着き感」が薄れてしまうからです。
狭い空間だからこそ、囲まれているような安心感が生まれ、心を休める場所として機能します。
あえて家具を少なくし、座れるスペースと最低限の収納だけにとどめることで、ヌックの魅力が引き立ちます。
使い方によっては、1畳ほどでも十分なこともありますので、スペースに合わせて柔軟に考えましょう。
ポイント4:落ち着いた雰囲気を照明でつくり出す
ヌックの快適性を高めるには、照明の調整も欠かせません。
居室よりも少し暗めの光で、心を落ち着ける空間に仕上げると効果的です。
例えば、ペンダントライトを低めに設置したり、床に間接照明を置いたりすることで、重心が下がり落ち着いた印象になります。
また、読書や作業をする場合は、手元が明るくなるような照明の工夫も必要です。
照明の色は、白色よりも暖色系の電球色を選ぶと、よりリラックスできる雰囲気を作り出せます。
ポイント5:気の流れを考慮して快適性を保つ
狭いスペースに設けることが多いヌックでは、空気の流れに注意する必要があります。
特に階段下や廊下など、窓が設けにくい場所では、空気がこもりがちです。
換気扇や通気口を設けたり、リビングや他の部屋との空気の流れを意識した設計にすることで、快適な空間を維持できます。
窓が設置できる場所なら、開閉可能な小窓を取り入れるのも有効です。
快適性が保たれてこそ、ヌックは毎日使いたくなる「お気に入りの場所」として活躍してくれるでしょう。
おしゃれなヌックのある家の施工事例と間取り
ヌックの魅力は、空間の使い方や暮らし方に合わせて自在にアレンジできる点にあります。
特に、家の中に自然と溶け込むように設けられたヌックは、実用性とデザイン性を兼ね備えた「暮らしのアクセント」になります。
ここでは、実際の注文住宅に取り入れられたヌックの事例を通して、その魅力とポイントを紹介します。
まるで秘密基地!階段下スペースを憧れの「ヌック」に

階段ならではの低い天井と三方を囲まれた空間が、まるで秘密基地のような、特別な「おこもり感」を演出してくれます。
こちらの事例では、リビングのすぐそばにありながら、少しだけ喧騒から離れることができるため、
一人で読書をしたり、趣味の作業に没頭したりするのにぴったりの空間と言えるでしょう。
まさに、憧れの「巣ごもり空間」を実現したアイデアです。
参照元:施工事例①【暮らしにフィットするお家 『Neuk -ヌーク-』】函館市桔梗4丁目|モデルハウス
家族と一緒でも、一人の時間。リビングの小上がりヌック

リビングの一角に設けた「小上がりスペース」がヌックとして活用されています。
ヌックは、家族との時間を大切にしながらも、ほんの少しだけ自分の世界に浸りたいというニーズに応える空間です。
段差をつけた小上がりは視覚的にも空間を区切りやすく、ヌックの「こもり感」を演出できます。
読書やゲーム、スマートフォンでの動画鑑賞など、誰にも邪魔されずにリラックスできるスペースとなっており、家族それぞれが趣味や気分に応じて自由に使えるのが魅力です。
家族の気配を感じながらも、心地よく過ごせるヌックは、暮らしに彩りと落ち着きをもたらします。
参照元:施工事例②【互いの生活と趣味を楽しめる二世帯住宅】新琴似7条9丁目|モデルハウス
ヌックを注文住宅に取り入れるならロゴスホーム

居心地のよい「ヌック」を注文住宅で実現したいと考えたとき、信頼できる業者選びはとても重要です。
ロゴスホームでは、家族のライフスタイルや好みに合わせた家づくりを提案しており、ヌックのようなこだわりの空間も柔軟に対応しています。
「階段下を有効活用したい」「リビングにおこもりスペースを作りたい」といった具体的なご希望も、丁寧にヒアリングし、理想の形に落とし込んでいきます。
これまでに手がけた施工実例も参考にしながら、あなただけの「居心地のいい場所」を一緒に形にしてみませんか?注文住宅だからこそ実現できる、理想のヌックをロゴスホームと検討しましょう。
まとめ
「ヌック」とは、家の中に設ける小さな居心地のよい空間で、近年ますます注目が高まっています。
家族とのつながりを保ちながら自分の時間を確保できることや階段下などのデッドスペースを活用できる点、多目的に使える柔軟性が魅力です。
一方で、設置には費用がかかったり、活用方法が曖昧だと物置化してしまうリスクもあります。
快適なヌックに仕上げるには、目的を明確にし、空間に合った広さや照明、通気性への配慮が重要です。
本記事では、ヌックの基本からメリット・デメリット、設計のコツ、実例までを詳しく解説しました。自分らしい空間づくりの参考にしてみてはいかがでしょうか。