「ユニットバス」と聞くと、あなたはどんなお風呂をイメージしますか?
「お風呂とトイレが一緒になっている、コンパクトな空間のこと?」
そう考えている方も多いのではないでしょうか。
実は、そのイメージはユニットバスの一つの側面に過ぎません。本来の意味を知ると、賃貸物件やホテル選びがもっとスムーズになるはずです。
この記事では、ユニットバスの本当の意味から、種類、メリット・デメリット、そして混同しやすいシステムバスとの違いまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの「ユニットバスって何?」という疑問はすべて解決します。
この記事の目次
ユニットバスとは?本来の意味と定義
まずは、多くの人が誤解している「ユニットバス」の本来の意味と、その定義について見ていきましょう。
本来の意味は「パーツを現場で組み立てる浴室」
ユニットバスの本来の意味は、壁・床・天井・浴槽といった浴室の各パーツをあらかじめ工場で製造し、それを建設現場に運び込んで組み立てる浴室のことを指します。
「ユニット工法」や「プレハブ工法」とも呼ばれるこの方法は、従来の工法(在来工法)に比べて、以下の点で優れています。
- 工期が短い: パーツを組み立てるだけなので、現場での作業時間が大幅に短縮されます。
- 品質が安定している: 工場で一括生産するため、職人の技術力に左右されず、安定した品質を保てます。
- 防水性が高い: パーツが一体化しているため、つなぎ目が少なく、水漏れのリスクを大幅に減らすことができます。
つまり、「ユニットバス」とは、トイレや洗面台が一緒かどうかではなく、浴室の「作り方・工法」を指す言葉なのです。
「トイレと風呂が一緒」という誤解が広まった理由
では、なぜ「ユニットバス=トイレと風呂が一緒」というイメージが定着したのでしょうか。
その理由は、1964年の東京オリンピックを機に建設された「ホテルニューオータニ」で、工期短縮のためにトイレ・洗面台・浴槽が一体となったユニットバスが大量に採用されたことにあります。その後、高度経済成長期に建てられたアパートやマンション、ビジネスホテルでも、省スペースで設置できるこのタイプが広く普及しました。
この「トイレ・洗面台・浴槽がセットになったユニットバス」が多くの人の目に触れる機会が増えた結果、「ユニットバス」という言葉自体が、この特定のレイアウトを指すものとして世間に浸透してしまったのです。
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ユニットバスの3つの種類と構成
ユニットバスは、浴室空間に何がセットで含まれているかによって、大きく3つの種類に分けられます。この種類を知ることで、物件情報やホテルの設備欄を正しく理解できるようになります。
3点ユニットバス(浴槽・トイレ・洗面台)
3点ユニットバスとは、浴槽・トイレ・洗面台の3つが同じ空間に収まっているタイプです。
一般的に「ユニットバス」と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、このタイプでしょう。ワンルームマンションやビジネスホテルで最もよく見られるレイアウトです。
スペースを最小限に抑えられるため、家賃が比較的安く設定されている物件に多いのが特徴です。
2点ユニットバス(浴槽・洗面台)
2点ユニットバスとは、浴槽と洗面台が同じ空間にあり、トイレだけが独立しているタイプです。
洗面台が浴室(脱衣所)にある間取りをイメージすると分かりやすいでしょう。トイレが別になっているため、誰かがお風呂を使っていてもトイレは使用でき、3点ユニットバスに比べてプライバシーが保たれやすいのがメリットです。
ファミリー向けマンションや、少し広めの単身者向け物件で採用されることがあります。
1点ユニットバス(浴槽のみ)
1点ユニットバスとは、浴室機能(浴槽と洗い場)のみで構成されている、完全に独立したお風呂のことです。
実は、多くの戸建て住宅や分譲マンションで採用されている一般的なお風呂も、この1点ユニットバスにあたります。
賃貸物件情報で「バストイレ別」と記載されている物件のお風呂は、この1点ユニットバスであることがほとんどです。つまり、「ユニットバス」でありながら「バストイレ別」という物件は、ごく当たり前に存在するのです。
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システムバスとの違いを比較
ユニットバスと似た言葉に「システムバス」があります。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
ユニットバスとシステムバスの定義の違い
結論から言うと、現在では「ユニットバス」と「システムバス」は、ほぼ同じ意味の言葉として使われています。
もともと、「システムバスとは、ユニットバスをベースに、デザインや機能の選択肢(システム)を増やし、よりカスタマイズ性を高めたもの」というニュアンスで使われ始めた言葉です。しかし、現在では技術の進化により、ユニットバス自体も非常に多機能でデザイン性が高くなりました。
そのため、現在ではメーカーによって呼び方が違うだけで、どちらも「工場でパーツを生産し、現場で組み立てる浴室」を指す言葉として定着しています。
デザインや機能性の自由度で比較
かつては「システムバスの方がデザインやオプションが豊富」というイメージがありましたが、今ではその差はほとんどありません。比較すると以下のようになります。
項目 | ユニットバス | システムバス |
---|---|---|
定義 | 工場でパーツを製造し、現場で組み立てる浴室の総称。 | ユニットバスの別称。ほぼ同義で使われる。 |
主な用途 | 賃貸住宅、ホテル、戸建てなど幅広く使われる。 | 主に戸建てやマンションのリフォームで使われることが多い。 |
デザイン・機能性 | シンプルなものから高機能なものまで非常に幅広い。 | デザインやオプションが豊富で、カスタマイズ性が高い。 |
住宅設備メーカーのカタログなどでは「システムバス」という名称が使われることが多いですが、基本的な構造や工法はユニットバスと同じだと考えて問題ありません。
(参考:TOTO株式会社, LIXIL | 浴室・バスルーム)
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ユニットバスのメリット・デメリット
ここでは、特に一人暮らしの物件選びでポイントとなる「3点ユニットバス」や「2点ユニットバス」に焦点を当てて、メリットとデメリットを解説します。
メリット:掃除のしやすさと家賃の安さ
ユニットバスには、特に家計や手間を重視する人にとって嬉しいメリットがあります。
- 掃除がまとめてできて楽
床や壁が防水性の高い素材で一体的に作られているため、シャワーを使って全体を丸洗いできます。トイレや洗面台周りの掃除も一度に済ませられるので、掃除の手間と時間を短縮できるのが大きな利点です。 - 家賃が安い傾向にある
3点ユニットバスは省スペースで設置できるため、同じ専有面積の「バストイレ別」の物件に比べて、家賃が数千円から1万円程度安く設定されていることが多くあります。初期費用や月々の固定費を抑えたい人には魅力的です。 - 水漏れのリスクが低い
工場で精密に作られたパーツを組み立てるため、床と壁のつなぎ目などが少なく、水漏れが起こりにくい構造になっています。
デメリット:湿気のこもりやすさと使い勝手
一方で、ユニットバスならではのデメリットも存在します。ライフスタイルによっては不便に感じる可能性もあるため、しっかり確認しておきましょう。
- 湿気がこもりやすい
浴室とトイレ・洗面台が同じ空間にあるため、シャワーを浴びると空間全体に湿気が充満します。換気を怠るとカビが発生しやすく、トイレットペーパーが湿ってしまうこともあります。 - 使い勝手が制限される
誰かがお風呂に入っている間は、他の人がトイレや洗面台を使いにくいという問題があります。一人暮らしなら問題ないかもしれませんが、来客時には不便を感じる可能性があります。 - 体を洗うスペースが狭い
3点ユニットバスの場合、洗い場専用のスペースがなく、浴槽の中で体を洗うのが基本となります。窮屈に感じたり、シャワーのお湯がトイレの方へ飛び散らないように気を使ったりする必要があります。
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ユニットバスのよくある質問と使い方
最後に、ユニットバスに関して多くの人が抱く疑問と、快適に使うためのコツをQ&A形式でご紹介します。
Q1. 体はどこで洗う?洗い場の確保方法
「3点ユニットバスの場合、体はどこで洗うの?」という疑問は非常によく聞かれます。
基本的には、シャワーカーテンを浴槽の内側にしっかりと閉めて、浴槽の中で体を洗います。 これが、トイレや床を濡らさずにシャワーを浴びるための最も一般的な方法です。
床も防水仕様になっているため、浴槽の外で体を洗うことも不可能ではありません。しかし、スペースが非常に狭く、トイレやトイレットペーパーを濡らしてしまう可能性が高いため、あまりおすすめはできません。
Q2. バストイレ別との違いは?
「バストイレ別との違いは何?」という疑問も重要です。
「バストイレ別」とは、その名の通り、浴室とトイレがそれぞれ独立した部屋として壁で仕切られている間取りを指します。
一方で「ユニットバス」は、前述の通り「工法」を指す言葉です。そのため、お風呂だけが独立している「1点ユニットバス」の物件は、「バストイレ別」に分類されます。
賃貸情報サイトなどで単に「ユニットバス」と記載されている場合は、慣習的に「3点ユニットバス」または「2点ユニットバス」を指していることが多いですが、必ず間取り図を確認するようにしましょう。
Q3. ホテルのユニットバスを快適に使うコツ
出張や旅行で利用するホテルのユニットバス。少しの工夫で快適に過ごすことができます。
- シャワーカーテンを正しく使う
これが最も重要です。シャワーカーテンの裾は、必ず浴槽の内側に入れてください。 外側に出ていると、シャワーのお湯がカーテンを伝って床に流れ出てしまい、床が水浸しになる原因になります。 - 使用後はしっかり換気する
シャワーを浴びた後は、換気扇をしばらく回し続けましょう。湿気がこもるとカビや嫌な臭いの原因になります。 - 濡らしたくないものは外に出しておく
バスタオルや着替え、スマートフォンのような電子機器は、シャワーを浴びる前に浴室の外に出しておくと安心です。 - 防水の小物入れやポーチを活用する
シャンプーや洗顔料、化粧品などをひとまとめにできる防水のポーチやバスケットがあると、濡れた床に直接置かずに済み、整理整頓もしやすくなります。
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まとめ
今回は、「ユニットバスとは何か」というテーマについて、その本来の意味から種類、メリット・デメリットまで詳しく解説しました。
最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。
- ユニットバスの本来の意味は「工場生産のパーツを現場で組み立てる工法」のこと。
- 一般的にイメージされるのは「3点ユニットバス(浴槽・トイレ・洗面台)」だが、これは種類の一つに過ぎない。
- 「2点(浴槽・洗面台)」や「1点(浴槽のみ)」のタイプもあり、1点ユニットバスは「バストイレ別」の物件で使われている。
- 「システムバス」とは、現在ではほぼユニットバスと同じ意味で使われている。
- ユニットバス(特に3点)は家賃が安く掃除が楽というメリットがある一方、湿気がこもりやすく使い勝手に工夫が必要というデメリットもある。
ユニットバスの正しい知識は、あなたのライフスタイルに合った物件やホテルを選ぶための強力な武器になります。この記事で得た情報を、ぜひこれからの部屋探しや旅行計画に役立ててください。
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