「注文住宅を建てるなら、雑誌で見るようなおしゃれな塗り壁にしたいな…」
温かみのある質感と、継ぎ目のない美しいデザインが魅力の塗り壁。憧れを抱いている方も多いのではないでしょうか。
しかし同時に、「費用が高そう」「汚れやひび割れが心配」「メンテナンスが大変って本当?」といった不安や疑問も尽きないはずです。
この記事では、注文住宅の外壁に塗り壁を検討しているあなたのために、知っておくべき全ての情報をまとめました。
- 塗り壁の基本的な知識とメリット・デメリット
- 代表的な塗り壁の種類と特徴、費用相場
- サイディングとの違い
- 「後悔した…」を防ぐための具体的な対策
- おしゃれな施工事例
この記事を最後まで読めば、塗り壁に関する不安が解消され、ご自身の理想の家づくりに塗り壁が本当に合うのか、自信を持って判断できるようになります。後悔しない家づくりの第一歩として、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
注文住宅で人気の「塗り壁」とは?その魅力と基本を解説
まずは「塗り壁」がどのような外壁材なのか、基本的な知識から確認していきましょう。
塗り壁の定義:職人の手仕事が生む唯一無二の風合い
塗り壁とは、職人がコテなどを使って、現場で壁材を塗りつけて仕上げる湿式工法(水を使う工法)の外壁のことです。
工場で生産されたパネルを貼り合わせるサイディングとは異なり、職人の手作業によって仕上げられるため、一つとして同じものがないオリジナリティあふれる壁面が生まれます。コテの動かし方一つで、波模様や扇模様、フラットな仕上げなど、多彩な表情を創り出せるのが最大の魅力です。
サイディングとの違いは「継ぎ目の有無」と「質感」
日本の住宅で最も普及している外壁材「サイディング」との大きな違いは、主に2つあります。
- 継ぎ目(コーキング)の有無
サイディングはパネルを貼り合わせるため、パネル間に必ず「コーキング」と呼ばれるゴム状の継ぎ目ができます。一方、塗り壁は壁全体を塗り上げるため、継ぎ目のないシームレスで美しい外観を実現できます。 - 質感とデザインの自由度
塗り壁は、素材そのものが持つ独特の温かみや重厚感が魅力です。また、前述の通り職人の手仕事による仕上げパターンの自由度も非常に高いです。サイディングにもレンガ調や木目調など多彩なデザインがありますが、塗り壁の持つ本物の素材感やオリジナリティを求める方に選ばれています。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
注文住宅に塗り壁を採用するメリット・デメリット
憧れの塗り壁ですが、採用を決める前にメリットとデメリットの両方をしっかりと理解しておくことが後悔しないための鍵です。
塗り壁の5つのメリット
まずは、塗り壁が持つ魅力的なメリットから見ていきましょう。
- メリット1:デザイン性が高く、おしゃれな外観になる
継ぎ目のない一体感のある仕上がりは、塗り壁ならではの最大のメリットです。建物の形状を問わず、シンプルモダンから南欧風、和風まで、あらゆるデザインに調和し、高級感と個性を演出します。 - メリット2:独特の質感と温かみのある風合い
自然素材を原料とすることが多い塗り壁は、工業製品にはない温かみと深みのある質感が特徴です。光の当たり方によって表情が変わり、時間と共に味わいが増していくのも魅力の一つです。 - メリット3:耐久性・耐火性が高い
塗り壁の主原料であるセメントや土、砂などは不燃性の素材であるため、非常に高い耐火性を誇ります。また、適切に施工されれば、サイディングのように10年ごとのコーキング打ち替えが不要なため、素材自体の耐久性は高いと言えます。 - メリット4:断熱性・遮音性が期待できる
壁に厚みを持たせることができるため、断熱性や遮音性の向上が期待できます。特に、多孔質(微細な穴がたくさん空いている)な素材である漆喰や珪藻土は、その効果が高いとされています。 - メリット5:部分的な補修がしやすい
万が一、壁に傷や欠けができてしまっても、その部分だけを補修することが比較的容易です。サイディングのようにパネル一枚を交換する大掛かりな工事になりにくい点もメリットです。
知っておくべき塗り壁の4つのデメリット
次に、採用前に必ず知っておきたいデメリットや注意点です。対策と合わせて理解しておきましょう。
- デメリット1:ひび割れ(クラック)のリスクがある
塗り壁の宿命とも言えるのが、ひび割れ(クラック)のリスクです。建物の揺れや下地の収縮、経年劣化によって、表面に細かなひびが入ることがあります。ただし、下地処理を丁寧に行う、ひび割れに強い素材を選ぶといった対策でリスクは大幅に軽減できます。 - デメリット2:汚れが付きやすく、目立ちやすい
表面が凸凹しているデザインの場合、その凹みに雨だれなどの汚れが溜まりやすい傾向があります。特に、窓サッシの下にできる黒い筋(雨だれ)は目立ちやすいです。これも、汚れにくい低汚染タイプの塗料を選んだり、汚れが目立たない色を選んだりすることで対策可能です。 - デメリット3:初期費用がサイディングに比べて高め
材料費に加え、職人の手作業による施工費がかかるため、一般的にサイディングよりも初期費用は高くなる傾向があります。ただし、選ぶ材料や工務店によって価格は大きく変動します。 - デメリット4t:職人の技術力によって仕上がりが左右される
手作業で仕上げるからこそ、仕上がりの美しさが職人の腕に大きく依存します。塗り壁の施工実績が豊富で、信頼できるハウスメーカーや工務店に依頼することが非常に重要です。
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【種類別】代表的な塗り壁材の特徴と費用相場を徹底比較
塗り壁と一言で言っても、様々な種類があります。ここでは代表的な塗り壁材の特徴と費用相場を比較しながら解説します。
比較表で見る!塗り壁材の種類と特徴
種類 | 特徴 | デザイン性 | 耐久性 | 費用相場(m²単価) |
---|---|---|---|---|
ジョリパット | デザイン豊富、カラー多数、高耐久、低汚染タイプも | ◎ | ◎ | 4,000円~8,000円 |
漆喰(しっくい) | 自然素材、調湿性、防火性、防カビ性、美しい白色 | 〇 | ◎ | 5,000円~10,000円 |
珪藻土(けいそうど) | 自然素材、調湿性、脱臭性、マットな質感 | 〇 | 〇 | 5,000円~9,000円 |
スタッコ | 重厚感、立体感のある凹凸模様、高級感 | 〇 | 〇 | 3,500円~6,000円 |
リシン | 落ち着いた砂壁調、低コスト | △ | △ | 2,500円~5,000円 |
STO(シュト) | 驚異的なひび割れ追従性、超撥水性、美しさが長持ち | ◎ | ◎ | 6,000円~12,000円 |
※費用相場はあくまで目安です。下地の状況や施工業者、仕上げパターンによって変動します。
各塗り壁材の詳細解説
ジョリパット
アイカ工業が販売する、塗り壁材の代表的な商品です。180以上のカラーと100種類以上の仕上げパターンから選べる圧倒的なデザイン性が魅力。耐久性や防カbig性、低汚染性など機能性に優れたタイプもあり、多くの住宅で採用されています。
(参考:アイカ工業株式会社 https://www.aica.co.jp/products/fill-w/jolypate/)
漆喰(しっくい)
サンゴ礁が原料の消石灰を主成分とする自然素材です。「呼吸する壁」とも言われ、優れた調湿性でカビの発生を抑えます。また、不燃性で防火性が高く、独特の美しい白色が特徴です。
珪藻土(けいそうど)
植物性プランクトンの化石からなる土を主原料とした自然素材。無数の微細な孔(あな)が湿気を吸ったり吐いたりする高い調湿性が最大の特徴です。脱臭効果も期待でき、マットで落ち着いた質感に仕上がります。
スタッコ
セメントや砂、骨材(砂利や砕石)を混ぜ合わせた材料で、重厚感と立体感のある凹凸模様が特徴です。南欧風の住宅などでよく見られ、高級感を演出します。
リシン
セメントやアクリル樹脂に細かい石や砂を混ぜたもので、表面がザラザラとした砂壁のような仕上がりになります。コストが比較的安価なため、古くから多くの住宅で使われてきました。
STO(シュトー)
ドイツ発祥の塗り壁材メーカー。最大の特徴は、ガラス繊維メッシュを下地に伏せ込む工法と、塗料自体の高い伸縮性による驚異的なひび割れへの強さです。ロータス効果®(蓮の葉効果)による超撥水性で汚れにくい製品もあり、「塗り壁のデメリットを克服した素材」として近年注目されています。
(参考:Sto Japan株式会社 https://wwwwww.sto-japan.com/)
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【費用】塗り壁の初期費用とメンテナンス費用はいくら?
家づくりで最も気になるのが費用です。塗り壁にかかるコストを初期費用とメンテナンス費用に分けて見ていきましょう。
初期費用(新築時)の目安とサイディングとの比較
塗り壁の初期費用は、1㎡あたり約4,000円~12,000円が相場です。
一般的な30坪の家(外壁面積約120㎡)で計算すると、約48万円~144万円が目安となります。
一方、最も一般的な窯業系サイディングの費用は1㎡あたり約3,000円~6,000円程度。同じく30坪の家で計算すると約36万円~72万円が目安です。
このように、塗り壁の初期費用はサイディングに比べて高くなる傾向があります。ただし、これはあくまで目安であり、選ぶ材料や仕上げ方法、依頼する業者によって大きく変動します。
長期的なメンテナンス費用
外壁のメンテナンスは、美観を保つだけでなく、住宅の寿命を守るためにも不可欠です。
- 塗り壁のメンテナンス
一般的に10年~20年に一度の再塗装が推奨されます。費用は足場代を含めて80万円~150万円程度が目安です。ひび割れの補修なども同時に行います。STOのような高耐久な素材を選ぶと、メンテナンス周期を延ばせる可能性があります。 - サイディングのメンテナンス
サイディングは約10年に一度、継ぎ目であるコーキングの打ち替えと、壁の再塗装が必要です。費用は足場代を含めて70万円~130万円程度が目安です。
初期費用は塗り壁の方が高い傾向にありますが、コーキングの打ち替えが不要な分、長期的に見るとメンテナンスコストに大きな差は出ない、あるいは逆転する可能性もあります。
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塗り壁で後悔しないための5つの重要ポイント
「せっかく塗り壁にしたのに…」と後悔しないために、契約前に必ず押さえておきたい5つのポイントを解説します。
後悔ポイント1:汚れが目立って古びて見える
「窓サッシからの雨だれで、黒い筋ができてしまった…」これは最もよく聞く後悔の声です。
- 対策1:汚れにくい機能を持つ素材を選ぶ
「低汚染性」「光触媒」「超撥水性」といった機能を持つ塗料を選びましょう。雨水で汚れを洗い流すセルフクリーニング効果が期待できます。STOやジョリパットの高機能グレードなどが該当します。 - 対策2:汚れが目立ちにくい色を選ぶ
真っ白や真っ黒は汚れが目立ちやすい色です。グレー、ベージュ、アイボリーなどの中間色は、砂埃や雨だれの汚れが比較的目立ちにくくおすすめです。 - 対策3:水切りや庇(ひさし)を設置する
窓サッシの下に水切りを設置したり、軒や庇を深くしたりすることで、壁面に直接雨水が伝わるのを防ぎ、雨だれを大幅に軽減できます。
後悔ポイント2:ひび割れ(クラック)が発生した
「入居して数年で壁にひびが入ってしまった…」これも大きな後悔ポイントです。
- 対策1:塗り壁の施工実績が豊富な業者に依頼する
ひび割れを防ぐ最も重要な要素は、丁寧な下地処理です。下地材の選定や施工精度が低いと、ひび割れのリスクが高まります。ハウスメーカーや工務店を選ぶ際は、塗り壁の施工実績が豊富かどうかを必ず確認しましょう。 - 対策22:ひび割れに強い素材を選ぶ
前述のSTOのように、下地にガラス繊維メッシュを入れたり、塗料自体の伸縮性が高かったりする素材を選ぶことで、建物の動きに追従し、ひび割れのリスクを最小限に抑えることができます。
後悔ポイント3:想像していたデザインと違った
「サンプルで見た色や質感と、仕上がりのイメージが全然違う…」という失敗も少なくありません。
- 対策:できるだけ大きなサンプルで確認する
小さなサンプルチップだけで判断するのは危険です。最低でもA4サイズ以上、できればA3サイズ程度の大きな塗り板サンプルを用意してもらい、屋外の太陽光の下で色や質感を確認しましょう。朝・昼・晩、晴れの日・曇りの日で見え方が変わることも意識してください。
後悔ポイント4:メンテナンス費用が思ったより高かった
「将来のメンテナンス費用まで考えていなかった…」という資金計画の失敗です。
- 対策:長期的な修繕計画と費用を事前に確認する
ハウスメーカーや工務店に、「何年後にどのようなメンテナンスが必要で、費用は概算でいくらかかるのか」を契約前に必ず確認しておきましょう。長期的な視点で資金計画を立てることが重要です。
後悔ポイント5:カビやコケが発生した
「北側の壁が緑色っぽくなってきた…」日当たりや風通しの悪い場所では、カビやコケが発生することがあります。
- 対策:防カビ・防藻性能のある塗料を選ぶ
多くの塗り壁材には、防カビ・防藻剤が添加されたタイプが用意されています。家の立地条件(日当たりが悪い、湿気が多いなど)を考慮して、適切な性能を持つ塗料を選びましょう。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
塗り壁の美しさを長持ちさせるメンテナンス方法
塗り壁の家で長く快適に暮らすためには、日頃のお手入れと定期的なメンテナンスが大切です。
自分できる日常的なお手入れ
- 軽い汚れ
柔らかいブラシやほうきで優しく払います。 - 部分的な黒ずみ
消しゴムで軽くこすると落ちる場合があります。強くこすりすぎないように注意してください。 - 蜘蛛の巣など
長い柄の付いたブラシなどで払い落としましょう。
業者に依頼する定期的なメンテナンス
「高圧洗浄機は使ってもいいですか?」という質問をよくいただきますが、基本的にはおすすめできません。水圧が強すぎて塗膜を傷つけたり、ひび割れを助長したりする危険があるためです。
壁全体の汚れが気になってきたら、自己判断で洗浄するのではなく、まずは施工してくれた業者に相談しましょう。プロによる専門的な洗浄や、10年~20年を目安とした再塗装を検討するのが賢明です。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
注文住宅の塗り壁に関するよくある質問(Q&A)
最後に、塗り壁に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 塗り壁とサイディング、結局どっちがいいの?
A. 一概にどちらが良いとは言えません。デザインの自由度や質感を最優先するなら塗り壁、初期費用を抑えたい、デザインの均一性を求めるならサイディングが向いていると言えます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の価値観や予算に合った方を選ぶことが大切です。
Q2. ひび割れは絶対に起きますか?
A. 「絶対に起きない」とは断言できません。しかし、本記事で紹介したように、信頼できる業者による丁寧な下地処理や、STOのようなひび割れに強い高機能な素材を選ぶことで、リスクを限りなくゼロに近づけることは可能です。
Q3. 塗り壁に対応してくれるハウスメーカーや工務店の探し方は?
A. 各社の公式サイトで施工事例を確認するのが最も手軽な方法です。塗り壁の家の写真が多く掲載されていれば、実績が豊富である可能性が高いです。また、住宅展示場などで実際にモデルハウスを見学し、担当者に直接質問してみるのも良いでしょう。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
まとめ:理想の家づくりは、塗り壁の正しい知識から
今回は、注文住宅の外壁材として人気の「塗り壁」について、種類や費用、メリット・デメリット、そして後悔しないためのポイントを網羅的に解説しました。
- 塗り壁は、継ぎ目のない美しいデザインと質感が魅力
- メリットだけでなく、ひび割れや汚れなどのデメリットも存在する
- デメリットは、素材選びや業者選び、設計の工夫で対策可能
- 初期費用は高めだが、長期的なメンテナンスコストも考慮して判断することが重要
- 後悔しないためには、大きなサンプルでの確認と、信頼できる業者選びが不可欠
塗り壁は、あなたの家を唯一無二の存在にしてくれる素晴らしい外壁材です。正しい知識を身につけ、不安を解消した上で採用を検討すれば、きっと満足のいく家づくりが実現できるはずです。
まずは気になるハウスメーカーや工務店に、「塗り壁の家を検討している」と相談し、具体的な提案や見積もりを取ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
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