地震が多い日本でマイホームを考えるとき、誰もが気になるのが「地震への強さ」ではないでしょうか。住宅展示場や不動産情報サイトで「耐震等級3」という言葉を目にしても、「それってどれくらい安全なの?」「うちには本当に必要なの?」と疑問に思う方も多いはずです。
大切な家族と資産を守るために、地震に強い家づくりの第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
耐震等級とは?建築基準法との違い
まず、耐震等級の基本的な意味と、よく混同されがちな「新耐震基準」や「耐震・制震・免震」といった言葉との違いを整理しましょう。
品確法に基づく住宅の性能表示制度
耐震等級とは、2000年に施行された「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」に基づき、地震に対する建物の強さを3段階で示した指標のことです。
この制度は、専門知識がない人でも住宅の性能を比較し、安心して家を選べるように作られました。耐震等級は、住宅の性能を10分野で評価する「住宅性能表示制度」の一つであり、等級の数字が大きいほど耐震性が高いことを意味します。
「新耐震基準」と「耐震等級」の違い
「耐震等級」とよく似た言葉に「新耐震基準」があります。この2つは根拠となる法律も目的も異なります。
- 新耐震基準
1981年に改正された建築基準法で定められた、すべての建物が満たすべき最低限の耐震基準です。震度6強~7程度の大地震でも「倒壊・崩壊しない」ことを目標としています。これは法律で定められた義務です。 - 耐震等級
品確法に基づく任意の制度で、新耐震基準をクリアした上で、さらにどれだけ高い耐震性を持つかを示すものです。より高い安全性を求める人のための目安と考えると分かりやすいでしょう。
簡単に言うと、新耐震基準は「合格ライン」、耐震等級は「合格ラインをどれだけ上回っているか」を示す成績のようなものです。
「耐震」「制震」「免震」構造との違い
地震対策の構造には、主に「耐震」「制震」「免震」の3種類があります。耐震等級は、主に「耐震構造」の性能を評価する指標です。
- 耐震構造
柱や梁、壁などを強化して、建物全体を頑丈にすることで地震の揺れに「耐える」構造です。多くの戸建て住宅で採用されており、コストを抑えやすいのが特徴です。 - 制震構造
建物内にダンパーなどの「制震装置」を設置し、地震の揺れを吸収して建物の変形を「制御」する構造です。繰り返す揺れに強く、高層ビルなどで多く採用されています。 - 免震構造
建物と基礎の間に積層ゴムなどの「免震装置」を設置し、地面の揺れを建物に直接「伝えない」ようにする構造です。揺れ自体が大幅に軽減されるため、建物や家具の被害を最も抑えられますが、コストは高くなります。
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耐震等級1・2・3の基準と強度の違い
それでは、耐震等級1、2、3の具体的な基準と強度の違いを見ていきましょう。それぞれの等級がどのくらいの地震に耐えられるのかを知ることが、家選びの重要な判断材料になります。
等級 | 強度の目安 | 想定される建物 | 地震後の状態(目安) |
---|---|---|---|
耐震等級1 | 建築基準法レベル | 一般的な住宅 | 倒壊・崩壊はしないが、大規模な修繕が必要になる可能性あり |
耐震等級2 | 等級1の1.25倍 | 学校、病院など | 一定の補修で住み続けられる可能性が高い |
耐震等級3 | 等級1の1.5倍 | 消防署、警察署など | 軽微な補修で住み続けられる可能性が高い |
耐震等級1|建築基準法で定められた最低限の基準
耐震等級1は、建築基準法で定められた「新耐震基準」と同等の耐震性能を持つことを示します。
具体的には、数百年に一度発生するレベルの地震(震度6強~7相当)に対して、倒壊・崩壊しない強度を持つように設計されています。ただし、これはあくまで「人命を守る」ための最低限の基準です。建物が損傷しないことを保証するものではなく、大地震後には大規模な修繕が必要になったり、住み続けられなくなったりする可能性があります。
耐震等級2|等級1の1.25倍の強度(学校・病院レベル)
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の地震力に耐えられる強度を示します。
これは、学校や病院、避難所として指定される公共建築物に求められるレベルの耐震性です。また、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅を認定する「長期優良住宅」の基準の一つにもなっています。大地震後も、一定の補修をすれば住み続けられる可能性が高まります。
耐震等級3|等級1の1.5倍の強度(消防署・警察署レベル)
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられる強度を持つ、現行制度で最も高い耐震性能です。
これは、災害復旧の拠点となる消防署や警察署などに求められるレベルです。大地震の後でも建物の損傷が軽微で済み、ほとんど補修することなく住み続けられる可能性が最も高い等級です。
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なぜ耐震等級3が推奨されるのか
現在、多くのハウスメーカーや工務店が新築住宅で「耐震等級3」を標準仕様にしたり、強く推奨したりしています。なぜ最低基準の等級1ではなく、最高等級の3が求められるのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
大地震後も住み続けられる安全性
最大の理由は、大地震が発生した後も、大切な我が家に安心して住み続けられることです。
2016年の熊本地震では、震度7の揺れが2度発生しました。この地震の調査では、建築基準法の最低基準である耐震等級1の住宅に倒壊や大きな被害が見られた一方、耐震等級3の住宅はほとんどが無被害または軽微な損傷で済んだことが報告されています。(出典:国土交通省 住宅局「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント)
地震で家が倒壊しなくても、大きな損傷を受ければ避難所生活を余儀なくされます。住み慣れた家で生活を再建できる安心感は、何物にも代えがたい価値があると言えるでしょう。
繰り返す余震による損傷リスクの軽減
大きな地震の後は、本震と同程度の揺れを含む余震が何度も発生することがあります。
耐震等級1の住宅は、本震に耐えられても建物にダメージが蓄積し、その後の余震で倒壊に至るリスクがあります。一方、耐震等級3の住宅は、本震による損傷が少ないため、繰り返す余震に対しても倒壊のリスクを大幅に低減できます。
資産価値の維持と向上
地震に強い家は、万が一の際の安全性が高いだけでなく、将来的に売却する際の資産価値も維持しやすいというメリットがあります。
中古住宅市場においても、耐震性の高さは重要な評価ポイントです。耐震等級3を取得していることは、建物の品質を客観的に証明するものであり、買主にとって大きな安心材料となるため、売却時に有利に働く可能性があります。
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自宅の耐震等級の調べ方・確認方法
「今住んでいる家や、購入を検討している中古物件の耐震等級はどうやって調べるの?」という疑問にお答えします。調べ方は、新築か中古か、また書類の有無によって異なります。
【新築】住宅性能評価書を確認する
新築住宅の場合、「住宅性能評価書」を確認するのが最も確実な方法です。
住宅性能評価書は、第三者機関が設計段階と建設段階で検査を行い、住宅の性能を客観的に評価した書類です。この書類の「構造の安定に関すること」という項目に、取得した耐震等級が明記されています。ハウスメーカーや工務店に依頼すれば取得できます。
【中古】設計図書や確認済証で確認する
中古物件の場合、まずは以下の書類が残っているかを確認しましょう。
- 住宅性能評価書: 2000年以降に建てられた住宅であれば、取得している可能性があります。
- 長期優良住宅認定通知書: 長期優良住宅の認定を受けていれば、原則として耐震等級2以上が確保されています。
- 設計図書(構造計算書など): 設計段階の図面や計算書から、どの等級を想定して設計されたかを確認できる場合があります。
これらの書類は、不動産会社や元の所有者に問い合わせてみましょう。
書類がない場合は耐震診断を依頼する
上記の書類が見つからない場合や、2000年以前に建てられた住宅(品確法施行前)の場合は、専門家による「耐震診断」を依頼することで耐震性能を調べられます。
耐震診断では、建築士などの専門家が現地調査や図面確認を行い、建物の強度を評価します。費用はかかりますが、現在の家の正確な耐震性能を知り、必要であれば耐震リフォームを検討するための重要な情報が得られます。
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耐震等級を上げるメリット・デメリット
耐震等級を上げることは安全面で大きなメリットがありますが、一方でコスト面のデメリットも存在します。両方を理解した上で判断することが大切です。
メリット|地震保険料が最大50%割引
耐震等級を取得している住宅は、地震保険料の割引を受けられます。割引率は等級に応じて異なり、等級が高いほど割引率も大きくなります。
- 耐震等級1: 10%割引
- 耐震等級2: 30%割引
- 耐震等級3: 50%割引
耐震等級3の場合、保険料が半額になるため、長期的に見れば大きな節約につながります。(参考:財務省「地震保険制度の概要」)
デメリット|建築費用が増加する
耐震等級を上げるためには、より多くの壁(耐力壁)を設置したり、太い梁や柱を使用したり、強固な基礎を設計したりする必要があります。そのため、等級を上げるほど建築費用は増加します。
等級ごとの費用増加の目安
耐震等級を上げるための追加費用は、建物の規模や構造、工法によって大きく異なりますが、一般的には総建築費の3%~5%程度が目安と言われています。
例えば、2,000万円の家であれば60万円~100万円程度の追加費用がかかる計算です。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、間取りの自由度が少し制限される可能性もあります。詳細な費用については、必ず設計を依頼するハウスメーカーや工務店に見積もりを依頼しましょう。
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耐震等級に関するよくある質問
最後に、耐震等級に関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
「耐震等級3相当」と「耐震等級3」の違いは?
「耐震等級3」と「耐震等級3相当」は全くの別物です。
- 耐震等級3: 品確法に基づき、第三者評価機関の正式な審査・認定を受けているもの。公的な証明であり、地震保険の割引も適用されます。
- 耐震等級3相当: 評価機関の認定は受けていないが、ハウスメーカーなどが「自社の計算上、等級3と同等の性能がある」と主張しているもの。
「相当」の場合、公的なお墨付きがないため、本当にその性能があるかは分かりません。また、地震保険の割引も適用されないため、安心とメリットを確実に得るためには、正式な「耐震等級3」の認定(住宅性能評価書)を取得することをおすすめします。
木造住宅でも耐震等級3は取得できる?
はい、木造住宅でも耐震等級3の取得は十分可能です。
むしろ、現在の日本の新築木造戸建てにおいては、耐震等級3を取得することがスタンダードになりつつあります。適切な設計と工法を用いれば、木造でも鉄骨造に劣らない高い耐震性を実現できます。
リフォームで耐震等級を上げることは可能?
はい、耐震リフォームによって等級を上げることは可能です。
壁を補強したり、金物を追加したり、基礎を強化したりすることで、既存の住宅の耐震性を向上させることができます。ただし、現在の建物の状態や構造によっては、工事が大規模になり費用も高額になる場合があります。まずは専門家による耐震診断を受け、どのような補強が必要か、費用はどれくらいかを確認することから始めましょう。
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まとめ
今回は、地震に強い家づくりの基本となる「耐震等級」について解説しました。
- 耐震等級は、地震に対する建物の強さを示す3段階の指標。
- 耐震等級1は建築基準法レベル、等級2はその1.25倍、等級3はその1.5倍の強度。
- 大地震後も安心して住み続け、資産価値を維持するためには耐震等級3が推奨される。
- 耐震等級は「住宅性能評価書」で確認でき、地震保険料の割引メリットもある。
家は、家族の命と暮らしを守る大切な場所です。これからマイホームを検討する方は、コストとのバランスを考えながらも、ぜひ最高等級である「耐震等級3」の取得を視野に入れて、ハウスメーカーや工務店に相談してみてください。この記事が、あなたの安心できる家づくりの一助となれば幸いです。
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