注文住宅のプランニングで、家の印象を大きく左右するのが「階段」です。特にリビング階段は、おしゃれで開放的な空間を演出できるため、憧れている方も多いのではないでしょうか。
しかし、「どんな種類があるの?」「間取りはどう考えればいい?」「費用はどれくらい?」といった疑問や、「リビング階段は冬寒いって本当?」という不安もつきものです。
この記事では、注文住宅を建てる際に後悔しないための階段づくりの全てを、専門家の視点から分かりやすく解説します。おしゃれなデザインの実例から、階段の種類、間取りの考え方、費用、失敗しないための注意点まで、あなたの家づくりに必要な情報を網羅しました。
理想のマイホームを実現するために、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
おしゃれな注文住宅の階段デザイン実例集
まずは、理想のイメージを膨らませるために、おしゃれな階段のデザイン実例を見ていきましょう。テイスト別に人気のスタイルをご紹介します。
開放感あふれるリビング階段

リビング階段は、LDK空間の主役になるデザインです。家族が自然と顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションが生まれやすいのが最大の魅力。吹き抜けと組み合わせることで、より一層の開放感と明るさを演出できます。インテリアの一部として、空間をおしゃれに彩ります。
スタイリッシュなスケルトン階段
スケルトン階段とは、踏板と骨組みだけで構成され、蹴込み板(けこみいた)がない階段のことを指します。視線が抜けるため圧迫感がなく、空間を広く見せる効果があります。光や風を通しやすく、明るく風通しの良い家づくりに最適です。モダンでスタイリッシュなインテリアを目指す方におすすめのデザインです。
アイアン手すりがアクセントの階段

黒いアイアン(鉄)の手すりは、空間をキリっと引き締めるアクセントになります。木製の踏板と組み合わせれば、インダストリアルな雰囲気とナチュラルな温かみが融合した、カフェのようなおしゃれな空間に。直線的なデザインだけでなく、曲線を取り入れたエレガントなデザインも可能です。
温かみのある木製階段

木のぬくもりを感じられる木製階段は、どんなインテリアにも馴染みやすい定番のデザインです。踏板だけでなく、手すりや側面の板も木で統一することで、温かみと落ち着きのある空間になります。使用する木材の種類や色によって、ナチュラル、北欧、和モダンなど、さまざまなテイストを表現できるのが魅力です。
省スペースが叶うらせん階段
らせん階段は、その美しい曲線がデザインのアクセントになるだけでなく、省スペースで設置できるというメリットがあります。狭小住宅や、セカンドリビングへの動線など、設置スペースが限られる場合に有効な選択肢です。ただし、大きな家具の搬入が難しい、足を踏み外しやいといった側面もあるため、採用は慎重に検討しましょう。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
【比較】階段の種類と特徴
階段は「形状」「デザイン」「素材」の組み合わせで決まります。それぞれの特徴を知り、わが家に最適なものを選びましょう。
形状の種類|直線・かね折れ・折り返し
階段の形状は、安全性や必要なスペースの広さに直結します。
- 直線階段
上階までまっすぐに続くシンプルな形状です。省スペースで設置でき、コストも比較的安価ですが、勾配が急になりがち。万が一転落した際に、下まで一気に落ちてしまう危険性があります。 - かね折れ階段
途中でL字型に曲がる形状です。踊り場があるため、万が一足を滑らせても途中で止まることができ、安全性が高まります。直線階段よりも広いスペースが必要です。 - 折り返し階段
途中でU字型に180度折り返す形状です。踊り場が広く、最も安全性が高いとされています。ただし、階段の中では最も広い設置スペースを必要とします。
デザインの種類|オープンとクローズ

デザインは、空間の印象を大きく左右します。
- オープン階段(スケルトン階段)
蹴込み板がなく、向こう側が見えるデザインです。最大のメリットは、開放感があり空間が広く見えること。光や風を通すため、明るく快適な空間づくりに貢献します。一方で、小さなお子様がいるご家庭では、隙間からの落下に注意が必要です。 - クローズ階段(箱型階段)
昔ながらの、踏板と蹴込み板で構成された箱のような形状の階段です。隙間がないため安心感があり、階段下を収納スペースとして有効活用できるのが大きなメリット。コストも比較的抑えられますが、圧迫感が出やすく、暗い印象になることもあります。
素材の種類|木・鉄・アルミ
手すりや踏板の素材によっても、見た目の印象やメンテナンス性、費用が変わります。
- 木
最もポピュラーな素材で、温かみのある空間を演出します。無垢材や集成材など種類が豊富で、色や木目によって雰囲気が大きく変わります。比較的安価なものから高級なものまで、価格帯が広いのも特徴です。 - 鉄(アイアン)
手すりによく使われる素材で、空間を引き締めるシャープな印象を与えます。デザインの自由度が高く、モダンでスタイリッシュな雰囲気にしたい場合に最適です。サビ対策として、塗装などのメンテナンスが必要になることがあります。 - アルミ
軽量でサビに強く、メンテナンスが容易な素材です。シャープで近代的な印象を与えますが、木や鉄に比べてコストは高くなる傾向があります。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
間取りを左右する階段の配置計画
階段をどこに配置するかは、家全体の暮らしやすさを決める重要なポイントです。代表的な3つの配置場所のメリット・デメリットを比較してみましょう。
リビング階段のメリット・デメリット
メリット
- 家族のコミュニケーションが活発になる
リビングを通らないと2階に行けないため、家族が自然と顔を合わせる機会が増えます。 - 空間に開放感が生まれる
リビングと階段が一体化し、吹き抜けなどを組み合わせることで、LDKが広く感じられます。 - 家のシンボルになる
デザイン性の高い階段を選べば、リビングのおしゃれな主役になります。
デメリット
- 冷暖房の効率が下がりやすい
暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へと流れるため、特に冬はリビングが寒く感じられることがあります。 - 音や匂いが2階に伝わりやすい
リビングでのテレビの音や料理の匂いが、2階の部屋まで届きやすくなります。 - プライバシーの確保が難しい
来客時に、家族が気兼ねなく2階との行き来をしにくい場合があります。
ホール階段のメリット・デメリット
メリット
- プライバシーを確保しやすい
リビングを通らずに2階へ行けるため、来客時も気を使う必要がありません。 - 冷暖房効率が良い
リビングと階段がドアで仕切られているため、空気が逃げにくく、光熱費を抑えやすいです。 - 音や匂いが広がりにくい
リビングの生活音が2階に伝わりにくいのもメリットです。
デメリット
- 家族のコミュニケーションが減る可能性がある
子どもが帰宅後、顔を合わせずに自室へ行ってしまうことも考えられます。 - 廊下やホールのスペースが必要になる
リビングとは別に階段用のスペースが必要なため、その分LDKが狭くなることがあります。 - 暗く、閉鎖的な印象になりがち
窓の配置を工夫しないと、暗く圧迫感のある空間になってしまう可能性があります。
玄関階段のメリット・デメリット
メリット
- 帰宅後すぐに2階へ行ける
玄関から直接2階の自室へ行けるため、プライバシーを重視する思春期のお子様がいるご家庭などには適しています。 - リビングの独立性が高まる
リビングが完全に独立した空間となり、来客時も落ち着いて過ごせます。
デメリット
- 玄関が狭く見えることがある
玄関ホールに階段を設置するため、圧迫感が出て玄関が狭い印象になる場合があります。 - 家族と顔を合わせる機会が減る
ホール階段と同様に、家族間のコミュニケーションが希薄になる可能性があります。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
階段下スペースのおしゃれな活用アイデア
クローズ階段(箱型階段)を選ぶと、階段下にスペースが生まれます。デッドスペースになりがちなこの場所も、工夫次第で便利な空間に変わります。
収納スペースとして活用
最も定番で実用的なのが、収納としての活用です。
- パントリー
キッチン横に階段があれば、食料品のストック場所として重宝します。 - クローゼット
リビングで使う小物や、家族の上着をかけるファミリークローゼットに。 - 掃除用具入れ
掃除機や日用品のストックなど、隠したいものをまとめて収納できます。 - 飾り棚
オープンな棚を造作し、お気に入りの雑貨や本を飾る「見せる収納」にするのもおしゃれです。
ワークスペースや書斎として活用
階段下の「おこもり感」は、集中したい作業スペースにぴったりです。カウンターデスクと棚を設置すれば、コンパクトながらも機能的なワークスペースや書斎が完成します。リモートワークや、子どもの勉強スペースとしても活用できます。
トイレや洗面スペースとして活用
間取りの工夫は必要ですが、階段下にトイレやコンパクトなセカンド洗面台を設置することも可能です。1階のトイレをリビングから離れた場所に配置したい場合や、帰宅後すぐに手洗いしたい場合に便利なアイデアです。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
注文住宅の階段で後悔しないための注意点
デザインや間取りに夢が膨らむ一方で、見落とすと後悔につながるポイントもあります。計画段階でしっかりチェックしておきましょう。
安全性|手すりの高さと踏板の寸法
階段で最も重要なのは、家族全員が毎日安全に使えることです。建築基準法では、手すりの高さは85cm以上、踏板(ふみいた)の奥行き(踏面)は15cm以上、一段の高さ(蹴上げ)は23cm以下と定められています。
しかし、これはあくまで最低基準です。小さなお子様や高齢のご家族がいる場合は、より緩やかな勾配にしたり、手すりのデザインを工夫したり(例:子どものすり抜け防止)、滑りにくい素材を選んだり、足元を照らす照明を設置したりといった配慮が大切です。
生活動線|家事がしやすい配置か
「洗濯物を干すために、重い洗濯カゴを持って毎日2階へ上がる」「掃除機をかけるたびに、リビングのソファをどかさないと階段下収納が開けられない」といった事態は避けたいものです。
洗濯動線や掃除動線など、日々の家事の流れを具体的にシミュレーションし、ストレスなく暮らせる配置になっているかを確認しましょう。
冷暖房効率|リビング階段の寒さ対策
「リビング階段はおしゃれだけど、冬は寒いのでは?」という心配は、多くの方が抱く不安です。この問題は、家の断熱性・気密性を高めることで大幅に改善できます。
高気密・高断熱な住宅性能を確保することを前提に、以下のような対策を組み合わせるのがおすすめです。
- シーリングファンを設置する
空気を循環させ、室内の温度を均一に保ちます。 - ロールスクリーンやカーテンを設置する
階段の入り口に設置し、冷暖房を使わない時間帯は閉めておくことで空気の流れを遮断します。 - 引き戸を設置する
デザイン性を損なわずに、空間をしっかり仕切ることができます。
プライバシーと音漏れへの対策
リビング階段の場合、リビングの音が2階の寝室に響いたり、逆に2階の物音がリビングに聞こえたりすることがあります。
寝室や書斎など、静かに過ごしたい部屋のドアは階段から少し離れた位置に配置する、防音性の高いドアを選ぶといった間取りの工夫で、プライバシーと静かな環境を守りやすくなります。
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【種類別】新築時の階段の費用相場
階段にかかる費用は、形状や素材、デザインによって大きく変動します。ここでは、一般的な目安をご紹介します。
形状別の費用目安
シンプルな形状ほどコストは抑えられます。
- 直線階段
15万円~30万円程度 - かね折れ階段
20万円~40万円程度 - 折り返し階段
25万円~50万円程度 - らせん階段
50万円~(デザインや素材により大きく変動)
※上記は基本的な木製クローズ階段の場合の目安です。
素材・デザイン別の費用目安
デザインにこだわるほど、費用は高くなる傾向があります。
- クローズ階段(箱型)
最も標準的で、費用を抑えやすいデザインです。 - オープン階段(スケルトン)
部材や施工に手間がかかるため、クローズ階段より高価になります。目安として50万円~100万円以上かかることも珍しくありません。 - アイアン手すりや特注デザイン
既製品ではなくオーダーメイドになるため、その分費用が上乗せされます。
費用を抑えるポイント
予算内で理想の階段を実現するためには、いくつかのポイントがあります。
- シンプルな形状を選ぶ
直線階段が最もコストを抑えられます。 - 標準仕様の素材を選ぶ
ハウスメーカーや工務店が標準仕様として用意している素材(集成材など)を選ぶと、追加費用がかかりません。 - 既製品を活用する
手すりなどを特注品ではなく、デザイン性の高い既製品から選ぶことでコストダウンが可能です。
費用を抑えつつもおしゃれに見せるには、手すりのデザインにこだわるのがおすすめです。階段本体はシンプルでも、手すりをアイアンにするだけで、ぐっと洗練された印象になります。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
まとめ
注文住宅の階段づくりは、「おしゃれなデザイン」と「暮らしやすさ」のバランスを考えることが成功の鍵です。
- デザイン: リビング階段、スケルトン階段、アイアン手すりなど、理想のイメージを見つける
- 種類: 形状(直線・かね折れ)、デザイン(オープン・クローズ)、素材(木・鉄)の特徴を理解する
- 間取り: リビング階段、ホール階段それぞれのメリット・デメリットを知り、ライフスタイルに合った配置を選ぶ
- 注意点: 安全性、生活動線、冷暖房効率、プライバシーへの配慮を忘れない
- 費用: 形状や素材による相場を把握し、予算内で実現できる方法を検討する
この記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひご家族で話し合ってみてください。そして、具体的なプランを検討する際は、ハウスメーカーや工務店の担当者にあなたの理想や不安を伝え、プロの視点から最適な提案をもらいましょう。
あなたの家づくりが、後悔のない素晴らしいものになることを心から願っています。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
家を建てるならロゴスホーム

ロゴスホームは、高品質にこだわった注文住宅を適正価格で提供するハウスメーカーです。お客様のニーズに合わせた住宅を提案いたします。
家を建てることを検討している方は、ぜひロゴスホームまでお気軽にご相談ください。