「注文住宅の間取りを考えているけど、廊下って本当に必要?」「廊下は無駄なスペースに感じるけど、ないと不便かな…」
家づくりを進める中で、多くの人が「廊下」の扱いに頭を悩ませます。限られた予算と面積の中で、廊下を設けるべきか、設けるならどのくらいの幅が必要なのか、正解が分からず不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
廊下は、単なる通路と捉えると「もったいない空間」に思えるかもしれません。しかし、設計次第では収納力を高めたり、家族のコミュニケーションを育んだりと、暮らしを豊かにする重要な役割を果たします。
この記事では、注文住宅の廊下で後悔しないために知っておきたい
- 生活シーン別の最適な廊下幅
- 「廊下なし」間取りのメリット・デメリット
- よくある失敗例と、廊下を有効活用するアイデア
などを、専門家の視点から分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの家族にぴったりの廊下の形が見つかるはずです。
この記事の目次
注文住宅の廊下幅は何センチが正解?
家の廊下幅は、暮らしの快適さや安全性に直結する重要なポイントです。建築基準法で定められた最低限の幅から、車椅子利用や家具の搬入まで、様々な視点から最適な廊下幅を考えていきましょう。
建築基準法が定める最低幅75cm
まず知っておきたいのが、法律で定められた基準です。
建築基準法では、住宅の廊下の幅について直接的な最低基準は定められていません。ただし、避難経路としての観点から、居室の床面積に応じて廊下幅の規定があります。一般的に、戸建て住宅で最低限必要とされる有効幅は75cm程度とされています。
しかし、これはあくまで「人が一人通れる最小限の幅」です。毎日の生活を快適に送るためには、もう少しゆとりを持たせた設計を検討することをおすすめします。
(参考:e-Gov法令検索 建築基準法施行令 第百十九条)
一般的な住宅の廊下幅91cm(尺モジュール)
日本の木造住宅では、柱の中心から中心までの距離を基準とする「モジュール」という設計単位が用いられます。
- 尺モジュール
柱の中心間の距離が910mm。壁の厚さを考慮すると、廊下の有効幅は約78cmになります。多くのハウスメーカーで標準採用されています。 - メーターモジュール
柱の中心間の距離が1,000mm(1m)。廊下の有効幅は約87cmとなり、尺モジュールよりもゆとりが生まれます。
一般的な注文住宅では、有効幅78cm〜80cm程度が標準的ですが、少しでもゆとりが欲しい場合はメーターモジュールを採用するのも一つの手です。
車椅子利用で推奨される有効幅85cm以上
将来の暮らしを見据えて、バリアフリーを意識することも大切です。車椅子での移動を想定する場合、廊下幅には特に配慮が必要です。
自走式の車椅子がスムーズに通るためには、最低でも有効幅85cm以上が推奨されます。また、廊下の角を曲がる(クランクする)場合は、回転スペースとして140cm×140cm程度の広さが必要になることも覚えておきましょう。介助者が横に付いてサポートする場合は、さらに広い90cm以上の幅があると安心です。
家具搬入や人のすれ違いを考慮した推奨幅
日々の生活の中で「廊下が狭い…」と感じる瞬間は意外と多いものです。
- 人と人がすれ違う
廊下で家族とすれ違う際、体を横にしないと通れないのはストレスになります。スムーズにすれ違うには、有効幅90cm以上あると快適です。 - 家具や家電の搬入
冷蔵庫や洗濯機、ソファといった大型家具の搬入経路も忘れてはなりません。特にL字型に曲がる廊下は要注意です。搬入したい家具のサイズを事前に確認し、余裕を持った幅を確保しましょう。 - 掃除のしやすさ
掃除機をかける際、廊下が狭いと壁にぶつかりやすく、スムーズに作業できません。少し幅にゆとりがあるだけで、日々の家事負担は大きく変わります。
これらのシーンを考慮すると、可能であれば有効幅90cm〜120cm程度を確保できると、非常に快適でストレスのない廊下が実現できます。
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「廊下なし」間取りのメリット・デメリット
最近、「廊下なし」の間取りが人気を集めています。リビング・ダイニングを中心に各部屋が直接つながるこのスタイルは、メリットが多い一方で、知っておくべきデメリットも存在します。
メリット① 居住空間の拡大と開放感
廊下をなくす最大のメリットは、その分の面積をリビングや収納などの居住空間に充てられることです。例えば、2坪(約4畳)の廊下をなくせば、その分リビングを広げたり、大きなファミリークローゼットを設けたりできます。
また、廊下という仕切りがなくなることで視線が抜け、家全体に一体感が生まれます。これにより、実際の面積以上に空間が広く感じられ、開放的な住まいを実現できます。
メリット② 建築コストの削減
廊下も家の一部であり、当然コストがかかっています。廊下をなくすことで、床材や壁紙、照明、建具(ドア)などの材料費や工事費を削減できます。
建物の形状がシンプルになることで、坪単価を抑える効果も期待できるでしょう。浮いた予算を、キッチンのグレードアップや断熱性能の向上など、こだわりのポイントに回すことも可能です。
デメリット① プライバシーの確保が難しい
廊下がない間取りは、リビングが各部屋への通路を兼ねるため、プライバシーの確保が難しくなるという側面があります。
例えば、来客中に家族がお風呂やトイレに行く際、リビングを通らなければならないケースが出てきます。また、子供が成長して思春期を迎えた際に、リビングを通らないと自室に入れない間取りを嫌がる可能性も考慮しておく必要があります。
デメリット② 冷暖房効率と生活音の問題
空間が一体化している「廊下なし」の間取りは、冷暖房の効率が下がりやすいというデメリットがあります。広い空間全体を快適な温度に保つためには、よりパワフルな空調設備が必要になり、光熱費が上がる可能性があります。
また、リビングのテレビの音や話し声が、隣接する寝室や子供部屋に直接響きやすくなります。家族の生活リズムが異なる場合、音の問題がストレスになることもあるため注意が必要です。
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廊下で後悔する人の失敗例3選
家づくりで後悔しないためには、先輩たちの失敗談から学ぶことが一番の近道です。ここでは、廊下に関するよくある失敗例を3つご紹介します。
失敗例① 暗くて圧迫感のある廊下
「コストを優先して窓をつけなかったら、日中でも電気が必要な暗い廊下になってしまった…」という後悔は非常に多いです。
暗い廊下は、ただ移動しにくいだけでなく、空間全体に圧迫感を与え、家の印象を暗くしてしまいます。また、湿気がこもりやすく、カビの原因になることも。壁紙を濃い色にしすぎた、天井高が低かったなども、圧迫感を強める要因になります。
失敗例② 狭すぎて家具搬入が困難
「間取り図では問題ないと思ったのに、いざ引っ越しの際にソファが廊下を通らず、窓から吊り上げて搬入する羽目に…」という悲劇も後を絶ちません。
特に、玄関からリビングまでの動線や、階段を上がった先の廊下がL字に曲がっている場合は要注意です。設計段階で、今使っている家具や将来購入予定の家具のサイズを測り、搬入経路をシミュレーションしておくことが失敗を防ぐ鍵です。
失敗例③ 廊下をなくして生活動線が悪化
「開放感を求めて廊下をなくしたら、リビングが通路代わりになってしまい、ソファでくつろげない…」というのも、よくある失敗例です。
リビングの中心を人が頻繁に横切るような動線計画は、落ち着かない空間を生み出してしまいます。また、「来客時にトイレを使いにくい」「洗濯物を干しに行くのにリビングを通るのが面倒」など、家事動線や来客時の動線が悪化し、日々の小さなストレスにつながるケースもあります。
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廊下を無駄にしない活用アイデア集

廊下は「ただの通路」ではありません。少しの工夫で、収納や趣味のスペースとして大活躍するポテンシャルを秘めています。ここでは、廊下を有効活用するアイデアをご紹介します。
- 壁面収納やニッチで収納力をアップ
廊下の壁一面に、天井までの高さがある壁面収納を設けるのがおすすめです。本の収納はもちろん、日用品のストックや掃除道具などをまとめて収納でき、家全体がスッキリします。壁の厚みを利用した「ニッチ」と呼ばれる飾り棚を設ければ、圧迫感なく季節の小物や写真などを飾るスペースが生まれます。 - ファミリーライブラリーやスタディスペース
幅にゆとりのある廊下なら、壁際にカウンターデスクと椅子を設置して、家族みんなが使えるワークスペースにするのも素敵です。子供の宿題スペースや、親のPC作業、読書コーナーとして活用できます。コンセントや照明を計画的に配置するのがポイントです。 - 家族の作品を飾るギャラリースペース
長い廊下の壁は、絶好のギャラリースペースになります。子供が描いた絵や、家族旅行の写真を額に入れて飾れば、通るたびに楽しい気持ちになれる特別な空間に。壁にピクチャーレールを取り付けておくと、気軽に展示替えができて便利です。 - 室内干しスペースとして活用
2階のホールや日当たりの良い廊下は、絶好の室内干しスペースになります。天井に昇降式の物干しユニットを設置すれば、使わないときはスッキリ収納でき、生活感を隠せます。花粉の季節や梅雨時期に大活躍すること間違いなしです。
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おしゃれな廊下を実現するデザインのコツ

機能性だけでなく、デザインにもこだわって、廊下をお気に入りの空間にしてみませんか?ちょっとした工夫で、廊下の印象は大きく変わります。
空間を演出する照明計画
廊下の照明は、ただ明るくするだけでなく、空間に奥行きや雰囲気を与える重要な要素です。天井に埋め込むダウンライトを等間隔に配置するのが一般的ですが、壁を照らすブラケットライトや、足元を優しく照らすフットライトを組み合わせることで、ホテルライクな上質な空間を演出できます。絵や写真を飾るなら、対象を照らすスポットライトも効果的です。
印象を変える壁紙・床材の選び方
廊下は比較的狭い空間だからこそ、壁紙や床材で思い切って遊んでみるのもおすすめです。
- アクセントクロス
廊下の一面だけ、色や柄の違う壁紙(アクセントクロス)を取り入れると、空間にメリハリが生まれます。 - 床材の切り替え
リビングの床材とは異なる素材や色の床材を選ぶことで、空間のゾーニングが明確になり、廊下が特別な空間として引き立ちます。 - 広く見せる工夫
白やアイボリーなど明るい色の壁紙や、縦ストライプ柄の壁紙は、廊下を広く、高く見せる効果が期待できます。
採光と開放感を生む窓の配置
暗くなりがちな廊下には、自然光を取り入れる工夫が欠かせません。廊下の突き当りに縦長の「スリット窓」を設けたり、高い位置に「高窓(ハイサイドライト)」を設置したりすると、プライバシーを守りながら効果的に光を取り込めます。
また、リビングと廊下の間の壁に「室内窓」を設けるのも人気の手法です。光と視線が抜けることで開放感が生まれるだけでなく、デザインのアクセントにもなります。
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注文住宅の廊下に関するQ&A
最後に、注文住宅の廊下に関してよく寄せられる質問にお答えします。
廊下とホールの違いとは?
「廊下」と「ホール」は、どちらも部屋と部屋をつなぐ空間ですが、その形状と役割に違いがあります。
一般的に、「廊下」は部屋と部屋をつなぐための細長い「通路」を指します。一方、「ホール」は玄関や階段の前、複数の部屋が接続する部分などに設けられる、比較的広さのある空間を指し、通路だけでなく、人の出入りや待合のスペースとしての役割も持ちます。
平屋でも廊下は必要?
「平屋だから廊下は不要では?」と考える方もいますが、一概にそうとは言えません。
平屋で廊下をなくすと、LDKを中心に各部屋が放射状に配置される間取りが多くなります。動線がコンパクトになるメリットは大きいですが、2階建てと同様にプライバシーや音の問題は発生します。特に寝室とLDKが隣接する場合は、生活音への配慮が必要です。家族構成やライフスタイルに合わせて、廊下の必要性を慎重に判断しましょう。
廊下の幅や間取りは後から変更できる?
「もし廊下が狭かったら、後からリフォームで広くできる?」という質問もよくありますが、これは非常に困難です。
廊下の幅を変えるには、壁を壊して柱の位置を動かす必要があり、建物の構造に影響を与える大規模な工事になります。費用も高額になるため、現実的ではありません。だからこそ、家づくりの設計段階で、将来の生活まで見据えて慎重に廊下の計画を立てることが何よりも重要です。
内観・外観イメージは具体的にお持ちでしょうか?
まとめ
注文住宅における廊下は、「無駄なスペース」などではなく、設計次第で暮らしの快適性や満足度を大きく左右する重要な空間です。
後悔しない廊下づくりのポイントは以下の通りです。
- 廊下幅は、法律の基準だけでなく、すれ違いや家具搬入などリアルな生活を想像して決める。
- 「廊下なし」間取りは、開放感とコスト削減が魅力だが、プライバシーや音の問題を理解しておく。
- 廊下を「通路」としてだけでなく、「収納」や「趣味のスペース」として活用する視点を持つ。
- 照明や窓の計画を工夫し、明るく開放的な廊下を目指す。
最も大切なのは、あなたの家族がどんな暮らしを送りたいかを具体的にイメージすることです。来客は多いか、将来親との同居の可能性はあるか、子供部屋のプライバシーをどう考えるか。家族でじっくり話し合い、ハウスメーカーや工務店の担当者にも相談しながら、あなたにとっての「正解」を見つけてください。
この記事が、あなたの後悔しない家づくりの一助となれば幸いです。
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