中古マンションの購入を検討する際、物件価格や住宅ローンに目が行きがちですが、忘れてはならないのが購入後に毎年かかる「見えないコスト」です。その代表格が固定資産税。
「一体いくらくらいかかるんだろう?」「計算方法が複雑でわからない…」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、中古マンションの固定資産税について、以下の点を専門家が分かりやすく解説します。
この記事を読めば、固定資産税への不安が解消され、安心して物件選びを進められるようになります。ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
中古マンション固定資産税の目安【価格・築年数別】
「結局、うちが検討している中古マンションの固定資産税はいくらなの?」という疑問に、まずはお答えします。
固定資産税は物件の評価額や所在地によって異なりますが、ここでは一般的な価格・築年数・エリア別の目安を紹介します。
【価格別】3,000万円・4,000万円の税額目安
中古マンションの固定資産税は、購入価格そのものではなく「固定資産税評価額」を基に計算されます。この評価額は、一般的に購入価格の50%~70%程度が目安です。
ここでは、都市計画税(後述)も合わせた年間の納税額の目安をまとめました。
購入価格 | 固定資産税評価額の目安 | 年間納税額の目安(固定資産税+都市計画税) |
---|---|---|
3,000万円 | 1,500万円~2,100万円 | 約10万円~18万円 |
4,000万円 | 2,000万円~2,800万円 | 約14万円~24万円 |
5,000万円 | 2,500万円~3,500万円 | 約17万円~30万円 |
※上記は住宅用地の特例(後述)を適用した概算です。実際の税額は物件の条件により変動します。
【築年数別】築20年・30年・40年の税額目安
マンションの建物部分は、築年数が経過するほど価値が下がるため、固定資産税も安くなる傾向にあります。これを「経年減価」と呼びます。
同じ価格帯の物件でも、築年数によって税額は以下のように変わってきます。
築年数 | 税額の傾向 |
---|---|
築10年 | 新築時に近い評価額が残っているため、比較的高め。 |
築20年 | 評価額の下落が進み、税額も落ち着いてくる時期。 |
築30年 | 評価額がかなり下がり、税負担は軽くなる傾向。 |
築40年以上 | 評価額の下落は緩やかになり、ほぼ横ばいになることが多い。 |
例えば、同じ3,000万円の物件でも、築30年の中古マンションは、築10年の物件に比べて建物の固定資産税が数万円安くなるケースも珍しくありません。
【エリア別】主要都市の税額相場比較
固定資産税は、土地の価格(地価)にも大きく影響されます。そのため、地価の高い都心部ほど税額は高くなるのが一般的です。
- 東京都23区: 全国で最も地価が高く、固定資産税も高額になる傾向があります。
- 大阪市・名古屋市・福岡市など: 都心部に次いで地価が高く、税額も比較的高めです。
- 地方都市: 都心部に比べると地価が安いため、固定資産税も抑えられる傾向にあります。
また、税率も自治体によって異なる場合があるため、購入を検討している物件がどの市区町村に属しているかを確認することが重要です。
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固定資産税の計算方法とシミュレーション
ここからは、固定資産税がどのように計算されるのか、具体的な仕組みを見ていきましょう。計算式さえ分かれば、ご自身で概算を出すことも可能です。
計算式「固定資産税評価額×標準税率1.4%」
固定資産税の基本的な計算式は非常にシンプルです。
固定資産税額 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 税率(標準1.4%)
- 固定資産税評価額
固定資産税を計算する基になる価格です。市区町村(東京23区は都)が3年に1度見直します。詳しくは後ほど解説します。 - 税率
標準は1.4%ですが、財政状況などに応じて市区町村が独自の税率を定めている場合があります。
固定資産税とは、毎年1月1日時点の土地や家屋、償却資産(事業用の資産)の所有者に対して課される税金です。
都市計画税の計算も忘れずに
中古マンションが「市街化区域」内にある場合、固定資産税とあわせて都市計画税も課税されます。
都市計画税額 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 税率(上限0.3%)
都市計画税とは、道路の整備や公園、下水道事業など、都市計画事業の費用に充てるための税金です。税率は自治体によって異なり、上限は0.3%と定められています。
多くの自治体では固定資産税と都市計画税が一緒に請求されるため、資金計画では両方を合算して考えておくことが大切です。
【具体例】3000万円・築20年の計算シミュレーション
それでは、具体的なモデルケースで税額をシミュレーションしてみましょう。
【モデルケース】
- 物件購入価格:3,000万円
- 築年数:20年
- 専有面積:70㎡
- 土地の評価額:900万円
- 建物の評価額:600万円
- 税率:固定資産税1.4%、都市計画税0.3%
ステップ1:土地の税額を計算する
土地には「住宅用地の特例」が適用され、税負担が大幅に軽減されます。
- 固定資産税(土地)
- 課税標準額:900万円 × 1/6(小規模住宅用地の特例) = 150万円
- 税額:150万円 × 1.4% = 21,000円
- 都市計画税(土地)
- 課税標準額:900万円 × 1/3(小規模住宅用地の特例) = 300万円
- 税額:300万円 × 0.3% = 9,000円
ステップ2:建物の税額を計算する
建物には原則として特例はありません。評価額にそのまま税率をかけます。
- 固定資産税(建物)
- 税額:600万円 × 1.4% = 84,000円
- 都市計画税(建物)
- 税額:600万円 × 0.3% = 18,000円
ステップ3:合計の納税額を算出する
最後に、土地と建物の税額をすべて合計します。
- 年間の納税額合計
- (21,000円 + 9,000円) + (84,000円 + 18,000円) = 132,000円
このケースでは、年間の固定資産税・都市計画税の合計は約13.2万円となりました。これはあくまで一例ですが、計算の流れを掴む参考にしてください。
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計算の基礎「固定資産税評価額」とは
シミュレーションで見たように、税額計算の鍵を握るのが「固定資産税評価額」です。この評価額がどのように決まるのかを知っておきましょう。
マンションの評価額の決まり方(土地・建物)
固定資産税評価額とは、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づき、各市町村が決定する、固定資産税の計算の基礎となる価格です。公示価格の70%程度が目安とされています。
マンションの場合、評価額は土地(敷地権)と建物(専有部分)に分けて算出され、その合計が物件全体の評価額となります。
- 土地の評価額
マンションが建っている土地全体の評価額を、各部屋の所有者が持つ土地の権利(敷地権割合)に応じて按分して計算されます。地価の高いエリアほど高くなります。 - 建物の評価額
「再建築価格」という、同じ建物をもう一度新築した場合にかかる費用を基準に、築年数の経過による劣化(経年減価)を考慮して算出されます。
築年数による評価額の下落(経年減価補正率)
建物は年々古くなるため、その価値は下がっていきます。この価値の下落を評価額に反映させるのが「経年減価補正率」です。
建物の評価額 = 再建築価格 × 経年減価補正率
この補正率は、建物の構造(マンションは鉄筋コンクリート造など)ごとに定められており、築年数が古くなるほど率が小さくなり、評価額が安くなります。
ただし、一定の築年数が経過すると下落は止まり、最終的には再建築価格の20%で評価額が固定されます。これが、築40年を過ぎても税金がゼロにならない理由です。
固定資産税評価額の調べ方3選
購入を検討している中古マンションの正確な固定資産税評価額を知るには、どうすればよいのでしょうか。主な方法は以下の3つです。
- 固定資産税の納税通知書を見る
最も確実で簡単な方法です。毎年4月~6月頃に所有者(売主)へ送付される書類で、評価額や税額がすべて記載されています。不動産会社を通じて、売主にコピーを見せてもらうよう依頼しましょう。 - 固定資産評価証明書を取得する
市区町村の役所や都税事務所で取得できる、評価額を証明する公式な書類です。原則として所有者本人しか取得できませんが、売主からの委任状があれば代理で取得することも可能です。 - 固定資産課税台帳を閲覧する
役所などで固定資産課税台帳を閲覧する方法もあります。ただし、閲覧できるのは所有者や借地人・借家人などの利害関係者に限られます。
中古マンション購入で失敗しないためには、契約前に必ず納税通知書などで正確な税額を確認しておくことが非常に重要です。
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中古マンションで使える固定資産税の軽減措置
中古マンションでも、条件を満たせば固定資産税が安くなる軽減措置を利用できます。代表的なものを知っておきましょう。
住宅用地の特例
居住用の建物が建っている土地の税負担を軽くするための制度で、自動的に適用される最も重要な特例です。
土地の固定資産税
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)
評価額が1/6に減額されます。 - 一般住宅用地(200㎡を超える部分)
評価額が1/3に減額されます。
土地の都市計画税
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)
評価額が1/3に減額されます。 - 一般住宅用地(200㎡を超える部分)
評価額が2/3に減額されます。
マンションの場合、一戸あたりの土地面積は200㎡以下になることがほとんどのため、最大の軽減効果を受けられるケースが多いです。
耐震改修促進税制
昭和57年1月1日以前に建てられた旧耐震基準の住宅を、現行の耐震基準に適合するように改修工事(費用50万円超)を行った場合に適用されます。
- 軽減内容
改修工事が完了した翌年度分の建物の固定資産税が1/2に減額されます。 - 注意点
工事完了後3ヶ月以内に市区町村への申告が必要です。
(参考:国土交通省「耐震改修に関する特例措置」)
バリアフリー改修促進税制
65歳以上の方などが居住する住宅で、一定のバリアフリー改修工事(費用50万円超)を行った場合に適用されます。
- 軽減内容
改修工事が完了した翌年度分の建物の固定資産税が1/3に減額されます。 - 注意点
工事完了後3ヶ月以内に市区町村への申告が必要です。
(参考:国土交通省「バリアフリー改修に関する特例措置」)
省エネ改修促進税制
平成26年4月1日以前に建てられた住宅で、窓の断熱改修など一定の省エネ改修工事(費用60万円超)を行った場合に適用されます。
- 軽減内容
改修工事が完了した翌年度分の建物の固定資産税が1/3に減額されます。 - 注意点
工事完了後3ヶ月以内に市区町村への申告が必要です。
(参考:国土交通省「省エネ改修に関する特例措置」)
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新築マンションとの固定資産税の違い
「新築と中古、固定資産税はどっちが安いの?」というのもよくある疑問です。両者には明確な違いがあります。
新築特有の軽減措置は適用されない
新築マンションには、新築住宅に対する減額措置という大きなメリットがあります。これは、新築後3年間(長期優良住宅などは5年間)、建物の固定資産税が1/2になるという制度です。
この新築特有の軽減措置は、中古マンションには適用されません。 これが新築と中古の最も大きな違いです。
築年数が古いほど評価額は低い
一方で、中古マンションには新築にはないメリットがあります。それは、経年減価によって建物の固定資産税評価額がすでに低くなっていることです。
新築マンションは、軽減措置が終了する4年目(または6年目)から税額が急に上がります。一方、築年数の古い中古マンションは、購入当初から安定した、比較的安い税額で推移します。
長期的な視点で見ると、新築の軽減措置が切れた後の税額と比べれば、中古マンションの方が税負担は軽くなるケースが一般的です。
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購入時の注意点とよくある質問(Q&A)
最後に、中古マンションの固定資産税に関する実務的な注意点と、よくある質問にお答えします。
納税義務者と支払い時期
- 納税義務者はだれ?
固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日時点での所有者(登記簿上の名義人)です。 - いつ支払うの?
納税通知書は毎年4月~6月頃に届き、支払いは年4回に分割するのが一般的です(一括払いも可能)。納期は自治体によって異なります。
購入初年度の固定資産税は日割りで精算
年の途中で中古マンションを購入した場合、その年の納税義務者は1月1日時点の所有者である売主です。
しかし、買主が住み始める日からの税金は買主が負担するのが公平です。そのため、不動産売買では、物件の引渡し日を基準に、固定資産税と都市計画税を日割り計算し、買主が売主へ相当額を支払うのが商慣習となっています。
この精算金は、売買代金とは別に決済時に支払うのが一般的ですので、資金計画に含めておきましょう。
Q.タワーマンションは税金が高い?
A. はい、同じエリア・広さの一般的なマンションに比べて高くなる傾向があります。
平成29年度の税制改正により、高さ60mを超えるタワーマンション(おおむね20階建て以上)では、高層階になるほど固定資産税が高く、低層階になるほど安くなるように税額が補正される「階層別専有床面積補正率」が導入されました。これは、高層階ほど分譲価格が高い実態を税額に反映させるための措置です。
Q.リノベーションで税金は上がる?
A. はい、工事の内容によっては上がる可能性があります。
壁紙の張り替えや設備の交換といった内装の修繕程度では、固定資産税評価額に影響はほとんどありません。
しかし、間取りを大幅に変更したり、建物の構造に関わるような大規模なリノベーションを行ったりした場合、「家屋の価値を増加させる行為(増改築)」とみなされ、役所の家屋調査が入り、評価額が見直されて税金が上がることがあります。リノベーションを計画している場合は注意が必要です。
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まとめ
今回は、中古マンションの固定資産税について、目安から計算方法、注意点までを網羅的に解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。
- 税額の目安
3,000万円の物件で年間約10万円~18万円がひとつの目安。ただし、築年数やエリアによって大きく変動します。 - 計算の仕組み
税額は「固定資産税評価額 × 税率」で決まります。評価額は購入価格の5~7割程度が目安です。 - 築年数の影響
建物は築年数が古いほど評価額が下がり、税金も安くなる傾向にあります。 - 新築との違い
新築特有の軽減措置はありませんが、その分、購入当初から評価額が低く、税額が安定しています。 - 購入前の確認が必須
契約前に必ず不動産会社を通じて「納税通知書」で正確な税額を確認しましょう。
固定資産税は、住宅を所有する限りずっと支払い続ける大切なコストです。仕組みを正しく理解し、事前にしっかり資金計画に組み込んでおくことで、安心して理想のマンションライフをスタートさせることができます。
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