家を買うか賃貸かどっちがお得?どちらもメリット・デメリットを考えよう

家を買う派(持ち家)と家を借りる派(賃貸)。

古くから、どちらのほうが良いかというテーマが何度も何度も議論されていますが、いまだに結論が出ていないテーマである以上、正解はないと考えたほうが良いでしょう。

持ち家と賃貸のどちらを選ぶべきか迷った場合には、それぞれのメリット・デメリットを比較し、家族やその方のライフスタイルに合っているほうを選ぶという流れが王道です。

当記事では、持ち家と賃貸それぞれの主なメリット・デメリットをご紹介しています。

持ち家のメリット

持ち家の主なメリットを見てみましょう。

内装・設備などを自分で自由に決められる

注文住宅を選んだ場合、外観や内装、設備、間取りなどを施主が自由に決められます。

家族のライフスタイルに合わせて素材やデザインを検討したり、地域の気候に合わせて断熱・気密などの住宅性能を上げたりなど、基本的に住宅をオーダーメイドで作ってもらうことが可能。

持ち家を選ぶ人の中には、このメリットこそが持ち家の最大の魅力と感じている人も少なくありません。

間取りや設備の変更が自由にできる

家の間取りや設備の変更(リフォーム・リノベーション)を自由にできる点も、持ち家の大きなメリットと言って良いでしょう。

家が老朽化してきた場合はもちろんのこと、ライフスタイルや価値観が変化してきた場合や、子どもが自立して家族構成に変化が生じた場合などでも、それぞれのタイミングで自由に間取りや設備を変更することが可能です。

住宅ローンの返済後は資産として残る

持ち家を購入するにあたり、多くの人は住宅ローンを組むことになります。

何十年にも及ぶ住宅ローンの返済は決して楽でありませんが、返済を終えれば、以後は家が自分の資産として残る点が持ち家の大きなメリット。

賃貸の場合、何十年と家賃を払い続けても、永遠に自分の資産となることはありません。

家が自分の資産となれば、売却して現金化することも自分の自由。あるいは、自分は賃貸に引越して他人に家を貸したり、子どもに資産として贈与・相続したりすることも可能です。

住宅ローンの契約者に万が一のことがあったら残債が保険で支払われる

住宅ローンを契約するにあたり、通常は金融機関から団信(団体信用生命保険)への加入が契約の条件とされます。

団信とは、万が一契約者が死亡・高度障害などにより返済が困難となった場合、住宅ローンの残債を代わって払ってもらえる生命保険のこと。

団信からの保険金で住宅ローンが完済されれば、残された家族には返済義務が残らず、そのまま同じ家に住み続けられます。

持ち家のデメリット

持ち家の主なデメリットを見てみましょう。

賃貸と比べて引越しが難しい

購入した住宅である以上、転勤や転職などの理由で引越しが必要になったとしても、簡単には引越しできません。

購入した家に家族が残り、自分一人だけ遠方に単身赴任する例はよく見られます。

近隣トラブルや住み心地の悪さなどを理由に引越すことも、なかなか難しいでしょう。

もし自分だけが単身赴任した場合、住宅ローンの返済と赴任先の家賃とで二重の支払いが生じる可能性もあります(勤務先の福利厚生制度によります)。

メンテナンス・管理費用が掛かる

いつまでも快適に持ち家へ住み続けるためには、定期的な住宅メンテナンスが必要です。

細かい修繕はもちろんのこと、屋根や外壁などの大がかりな修繕が必要になることもあるでしょう。

これらメンテナンスや修繕などに掛かる費用は、当然ながら施主が負担するもの。

住宅ローンを契約する際には、住んでからのメンテナンス費用等も考慮し、余裕のある金額で契約することが大切です。

固定資産税など税金が掛かる

家を購入する際には、不動産取得税や登録免許税などの税金が掛かります。

また、家を購入した後も毎年、固定資産税と都市計画税が掛かります。

ちなみに、賃貸住宅にも固定資産税や都市計画税は掛かりますが、納付するのは大家さん。入居者が負担するものではありません。

たとえ住宅ローンを返済したとしても、家を持ち続ける以上、固定資産税と都市計画税は永遠に掛かり続けるもの。

ついでながら、上記のメンテナンス・管理費用も掛かり続けるもの。「住宅ローンを完済すれば、後は住居費がタダになる」と考えるのは間違いです。

住居費を下げることができない

家を購入した後、リストラや勤務先の倒産、ケガ・病気などによる収入減など想定外の事態が発生したとしても、基本的に住宅ローンの返済は待ってくれません。

賃貸物件なら、緊急事態により家賃の安い家へフットワーク軽く引越すこともできますが、住宅ローン返済中の持ち家の場合には、簡単に引越すことはできないでしょう。

結果として、収入が減少した中でも今までと同じ返済を維持するため、何らかの工面をする必要が生じます。

賃貸のメリット

賃貸の主なメリットを見てみましょう。

いつでも引越しできる

賃貸の大きなメリットの1つが、家族の事情に合わせていつでも引越しできること。

「家族が増えて部屋が手狭になった」「職場に近い便利なエリアに住みたい」などの事情はもちろんのこと、「今の物件に飽きたから、気分転換の意味で引越してみたい」といった贅沢な理由で引越すことも可能です。

設備の修理・交換などの費用の負担がない

物件管理に掛かる最低限のコストは管理費という形で掛かりますが、基本的に設備の修理・交換などのメンテナンス費用は、大家さんが負担することになります。

また、入居者に重大な過失がない限り、エアコンや給湯機器などの設備の修理・交換費用も大家さんの負担となります。

持ち家とは異なり、これら設備の修理・交換などの費用負担がないことは、賃貸の大きなメリットと言えるでしょう。

収入に応じて住居費をコントロールできる

リストラや勤務先の倒産、自身の病気・ケガなどを理由に収入が減少した場合には、収入に見合った家賃の低い賃貸住宅へ引越すことが可能。

逆に、昇格や転職、独立などで収入がアップした場合には、家賃の高い賃貸住宅へ引越すことも可能です。

収入に応じて住居費をコントロールできる点は、持ち家にないメリットの1つとなるでしょう。

賃貸のデメリット

賃貸の主なデメリットを見てみましょう。

内装や間取りを自分で決められない

賃貸住宅の内装・間取りを決めるのは大家さん。

物件を建てる際に入居予定者が設計へ口出ししたり、入居後に大家さんの許可なく自由にリフォーム・リノベーションしたりすることはできません。

基本的には、大家さんが決めた内装・間取りの中に、家族のライフスタイルや価値観を合わせて生活していく形となります。

あるいは、家族のライフスタイルや価値観に合った物件を地道に探し続けるしかありません。

家賃の支払いは一生続く

持ち家の場合、住宅ローンの支払いを終えれば大きな支出はなくなりますが、賃貸の場合、一生涯家賃を支払い続けなければなりません。

何年家賃を支払い続けたとしても、持ち家とは違って自分の資産になることはないので、売却することはもちろんのこと、子どもに資産として残すこともできません。

高齢になった時に契約や更新がしずらくなる

定年退職をして年金生活へ入るころになると、賃貸を新規契約したり契約更新したりするのが難しくなることもあります。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)などの高齢者向け賃貸住宅もありますが、一般的な賃貸に比べて家賃が高額となるため、誰でも入居できるわけではありません。

なお、高齢者が賃貸住宅を借りられない事態については国も問題視し、個別で支援拡充を広げています。

【まとめ】ライフスタイルや価値観を基準に家づくりを検討しよう

持ち家か賃貸かという場面で悩んだとき、「どちらのほうが生涯支出は多いか」という基準で比較する方も少なくありません。

この比較に関し、様々な情報源から「持ち家のほうが支出は少ない」という見解もあれば「賃貸のほうが支出は少ない」という見解もあり、正解はない状況です。

正解がないということは、支出に大差がないということかもしれません。大差がないならば、お金を基準に住宅を考えるのではなく、ライフスタイルや価値観を基準に住宅を考えたほうが良いのではないでしょうか。

当記事でご紹介したメリット・デメリットをさらに深掘りし、少しでも家族に適した家づくりを模索していきましょう。