家を買うVS借りる、どっちがお得?

家を買うほうがお得か?それとも借りるほうがお得か?古くから議論されているテーマですが、結論から言うと、この長きにわたるテーマに正解はありません。購入と賃貸のメリットとデメリットを客観的に比較して、買ったほうが良いと思えば買い、借りたいほうが良いと思えば借りる、という自然なスタンスを基本としましょう。

ここでは、家を買うことと借りることのメリット・デメリット、家の購入と賃貸に関するアンケート調査などをご紹介しています。

生涯住居費に大きな違いはない

生涯住居費について、家を買うほうが安く済むという試算もあれば、逆に家を借りるほうが安く済むという試算もあります。

この類の試算は条件により結果が大きく異なるため、単純な比較には無理があると言わざるを得ません。例えば、賃貸住宅派の場合、子供の成長や独立に応じて住み替えする世帯もあれば、住み替えしない世帯もあります。どちらのタイプかにより、生涯住居費には大きな違いが出るでしょう。

仮に、ほぼ同じ条件で同じ物件を買った場合と借りた場合を比較すると、両者の生涯住居費には大きな差がないと言われています。もしそうならば、お金の面で「どちらがお得か」を議論しても、あまり大きな意味はありません。

購入と賃貸を「お得感」で比較するならば、お金ではなく、自分なりの基準で「お得感」を判断すると良いのではないでしょうか。以下、お金以外で「お得感」を判断するための参考として、購入と賃貸、それぞれの主なメリット・デメリットを見てみます。

家を買う主なメリット

ライフスタイルや価値観に合わせた自由な家が手に入る

家を購入する際には、注文住宅・建売住宅・マンションの3種類から選択することになりますが、これらのうち注文住宅を選んだ場合、白紙の設計図から家を企画することになります。

家族のライフスタイルや価値観に合わせ、自由な間取り・設備・デザインなどを実現できる点が、賃貸住宅にはない大きな魅力になるでしょう。

家も土地も自分の資産として残る

住宅ローンを完済すれば、家も土地も自分の資産として残ります。経年劣化で建物の資産価値がゼロになったとしても、土地の資産価値がゼロになることはありません。

立地等の条件によっては、土地の資産価値が上昇することもあります。

家族構成の変化などに合わせて自由にリフォームできる

一戸建てを買った場合、将来的な家族構成の変化(子供が生まれる、高齢の両親が同居する等)に合わせ、基本的には自由に間取り等をリフォームできます。マンションを買った場合でも、専有部分については一定のリフォームが可能です。

一方、賃貸住宅は自分が所有する不動産ではないので、自分の意思で自由にリフォームすることはできません。

家を買う主なデメリット

何十年という住宅ローンの縛りがある

一戸建てであれマンションであれ、家を買う多くの人は住宅ローンを抱えることになります。住宅ローンの返済中、リストラや倒産、病気などで収入が減少しても、原則としてローンの返済は待ってくれません。将来の収入状況が不確定の中、完済までの心理的な負担は大きいでしょう。

買った後も家の維持費が掛かる

住宅ローンの返済とは別で掛かるのが、家の維持費。一戸建てを購入した場合には家の状態に応じて自腹でメンテナンス・修繕を行い、マンションを購入した場合には定期的に管理組合へ修繕積立金等を支払います。固定資産税も維持費の一種と考えて良いでしょう。

フットワーク軽く住み替えるのが難しい

大きな住宅ローンを組んで購入した家である以上、金銭的にも心理的にもフットワーク軽く住み替えるのは難しいでしょう。

とりわけ一戸建ての場合、売りたくても買主が見つかりにくいというデメリットもあります。一戸建ての購入を検討している多くの方は新築を望んでいるからです。

家を借りる主なメリット

比較的容易に住み替えができる

家を買った場合に比べると、家を借りた場合のほうが住み替えは容易。ライフスタイルや気分が変化に応じ、比較的スムーズに別の物件で新生活をはじめられる点は、家を借りる大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、賃貸住宅の住み替えには敷金や礼金、引越し費用などの大きなお金が掛かる点にも注意が必要です。

住宅ローン(=借金)がないので気持ちが楽

家を買う場合とは異なり、家を借りる場合には住宅ローンを組む必要がありません。もちろん、住宅ローンの返済に似た「月々の家賃の支払い」はありますが、借金を抱えているわけではないので、その分だけ気持ちが楽になるのではないでしょうか。

会社の家賃補助を受けられる可能性がある

賃貸住宅に住んでいる方に対し、家賃補助制度を設けている会社は少なくありません。中には家賃の半額程度を負担してくれる会社もあるようです。

一方で、一般的に会社は住宅ローン返済に対する補助を行っていません。会社の家賃補助があるならば、家を買うより借りたほうがお得になることもあるでしょう。

家を借りる主なデメリット

自分の資産にはならない

賃貸住宅の所有者は、あくまでも大家さんです。どんなに長く家賃を支払い続けても、所有権が自分へ移転することはありません。

自分の資産として残らない点は、購入と比べた賃貸の大きなデメリットとして知られています。

家族のライフスタイルを住宅に反映できない

注文住宅の購入を選んだ場合、家族のライフスタイルや価値観を自由に住宅へ反映させることができます。

一方で賃貸を選んだ場合、広さや間取り、設備、デザインなどを自由に選ぶことができません。既存の住宅にライフスタイルを収めていくことになるため、やや窮屈に感じる方もいるでしょう。

老後の住宅探しに苦労する可能性もある

定年退職を迎えて年金生活に入ると、収入面の理由から、新たに賃貸住宅を契約したり、居住中の賃貸住宅の契約更新が難しくなったりするリスクがあります。

年金生活者でも賃貸物件を借りられないわけではありませんが、現役時代に比べると選択肢は少なくなるかもしれません。

「家を買う派or借りる派」に関するアンケート調査

不動産業界をサポートする「ハトマーク(全宅連)」が公表したアンケート結果の中から、「家を買う派or借りる派」に関連するQ&Aデータをご紹介しましょう。

Q.あなたは「持ち家派」「賃貸派」どちらですか?(現在のお住まいに関係なく1つ選択)

  • 持ち家派…77.9%
  • 賃貸派…22.1%

アンケート結果では、圧倒的に「持ち家」を好む人が多いようです。

Q.「持ち家派」(一戸建て・マンション・集合住宅)の理由を教えてください。(3つまで選択可・持ち家派の人のみ回答)

  • 家賃を払い続けることが無駄に思えるから…48.0%
  • 落ち着きたいから…28.5%
  • 老後の住まいが心配だから…24.4%
  • 持ち家を資産と考えているから…24.2%

住宅ローンの返済と家賃の支払いを同じようなものと考えれば、「家賃を払い続けることが無駄に思えるから」という意見が多くなるのは必然でしょう。

Q.「賃貸派」(一戸建て・マンション・集合住宅)の理由を教えてください。(3つまで選択可)(賃貸派の人のみ)

  • 住宅ローンに縛られたくないから…39.7%
  • 天災が起こった時に家を所有していることがリスクになると思うから…28.7%
  • 税金が大変だから…25.8%
  • 仕事等の都合で引っ越しする可能性があるから…13.3%

「賃貸派」の理由として最も多かったのが「住宅ローンに縛られたくないから」。何十年にもわたる借金を抱えることに、心理的な不安や負担を感じる方が多いようです。

※引用・参照:ハトマーク|9月23日は不動産の日 「不動産の日アンケート」 住居の居住志向及び購買等に関する意識調査 2023年2月

【まとめ】最も「お得感」のある住まいとは?

冒頭でもお伝えしましたが、「家を買うほうがお得か、借りるほうがお得か」という議論で、少なくともお金の面では結論がありません。なぜならば、どちらを選んでも生涯住居費は同じようなものだからです。

住まいは家族にとって毎日の生活の土台であり、たくさんの思い出が詰まった大切な場所。購入か賃貸かを問わず、家族の笑顔を最も多く見られる空間こそが、最も「お得感」のある住まいと言えるのではないでしょうか。
みなさまが理想のマイホームにめぐり合えるようお祈りします。