自衛隊の方は家が買いやすい?住宅貸付とは?

一般的な民間企業で働いている方に比べると、自衛隊の方は将来的な安定収入が期待できることから住宅ローンの審査に通りやすい傾向があります。利用できる住宅ローンにも複数の種類があるため、それぞれの基本的な知識をしっかりと押さえ、より有利な形で家の購入を考えていきましょう。

ここでは、防衛省が用意している住宅貸付や財形持家融資などの制度を中心に、自衛隊の方々が利用できる住宅購入向けの融資制度をご紹介しています。

自衛隊を含め公務員は家を買いやすい

一般的に、家は金融機関などから住宅ローンを借りて購入することになります。住宅ローンを契約するには審査がありますが、自衛隊の方々は審査で有利になる傾向があるため、民間企業に務めている一般のサラリーマンに比べれば、自衛隊の方々は家を買いやすい立場ということになるでしょう。

自衛隊の方々が審査で有利になると言われる理由は、主に次の3点です。

失業リスクが低いから

民間企業に比べ、自衛隊を含む公務員は失業リスクが低い職種と言われています。失業リスクが低いということは、金融機関から見れば滞納リスクが低いということにもなるため、融資の審査は有利になることが想像できます。

収入が安定しているから

自衛隊を含む公務員は、景気や売上の動向によって給料が大きく変動することはありません。

長年にわたり、概ね予想の範囲内での収入が約束されているため、金融機関から見れば比較的安心できる融資相手となるでしょう。

退職金制度が法律で決まっているから

自衛隊を含む公務員は、法律により退職金制度が決まっています。

退職金は住宅ローン返済の大きな原資になることが多いため、金融機関にとって退職金制度がしっかりしている自衛隊は、安心して融資できる相手となるでしょう。

以上の理由により、一般的には「自衛隊の方は家を買いやすい」と言えますが、必ずしも住宅ローンを申し込んだ方全員が審査に合格するとは限りません。詳しくは後述しますが、別のローンやクレジットの滞納履歴などがある場合、審査に不合格となる場合もあることを理解しておきましょう。

自衛隊の方が利用できる主な住宅融資

自衛隊の方の場合、銀行などの金融機関とは別で、防衛省の共済組合から住宅購入費用の融資を受けることも可能です。以下、自衛隊の方が利用できる住宅融資の主な種類を見ていきましょう。

住宅貸付(防衛省の共済組合)

住宅貸付とは、防衛省の共済組合員へ3年以上加入している方なら誰でも利用できる住宅購入のための貸付制度です。民間金融機関の住宅ローンとは異なり、融資を受ける際の審査はありません。

また、連帯保証人や抵当権の設定も必要なく、保証料や繰上返済手数料もなし。退職金で一括返済する「自己資金」という性質を持つため、別途で民間金融機関から融資を受ける際に審査の妨げとなることもありません。借入限度額は、原則として退職手当等の額の範囲内で、最高2000万円となります。

特別住宅貸付(防衛省の共済組合)

自衛官として20年以上を務めた方を対象に、退職金を担保として共済組合から貸付を受けられる制度です。「2年以内に自己都合で退職する予定の自衛官」や「5年以内に定年退職する予定の自衛官」などでも、自衛隊へ20年以上にわたり勤務した方なら誰でも制度を利用できます。

貸付ではあるものの、上記の住宅貸付と同様に「自己資金」という性質を持つため、別途での金融機関からの融資に際し、審査の妨げになることはありません。

財形持家融資(防衛省の共済組合)

財形持家融資は防衛省の共済組合が行っている貸付制度の1つで、1年以上にわたり共済組合の財形貯蓄を行っていること、50万円以上の財形貯蓄残高を有していることなどを条件に自衛隊の方々が利用できる制度となります。

貸付限度額は、財形貯蓄残高の10倍相当額または4000万円のいずれか低いほうで、かつ5年後の退職手当相当額に200万円を加えた額。返済期間は15年、20年、25年の3種類から選ぶことになります。

通常の住宅ローン

防衛省の共済組合が提供している上記の貸付制度とは別で、もちろん自衛隊の方々でも、民間金融機関などで通常の住宅ローンを利用できます。

通常の住宅ローンの中で最も広く利用されているものが「フラット35」。民間金融機関と住宅金融支援機構が共同で提供している「最長35年・全期間固定金利」の住宅ローンです。

保証人が不要で繰上返済手数料も不要になるなど、金融機関が単独で提供している住宅ローンよりも有利な面はありますが、防衛省の共済組合が提供している貸付制度とは異なり、事務手数料・保証料などの諸費用が掛かる点や融資に審査がある点なども承知しておく必要があるでしょう。

一般的な住宅ローンの審査に不合格となる場合もある

共済組合の住宅貸付には審査がありませんが、フラット35などのように一般的な住宅ローンにも申し込む予定の場合には、たとえ自衛隊員(公務員)であっても、審査で不合格となる事があることにご注意ください。審査で不合格になる主な理由は次のようなものです。

クレジットカードやカードローンなどの滞納履歴がある

たとえ自衛隊員であっても、クレジットカードやカードローンなどの滞納履歴がある方は、滞納していた時期によるものの住宅ローンの審査で不合格になる可能性があります。

健康上の問題がある

返済期間中に契約者が死亡・高度障害などの事態となった場合へ備え、一般的な住宅ローンの申込に際しては、団信と呼ばれる保険への加入が金融機関から求められます。

団信は生命保険の一種なので健康状態に問題があれば、加入できないこともありますが、加入できなければ金融機関から融資を受けられない可能性があります。

融資の希望価格が高すぎる

いかに安定収入や退職金が約束されている自衛隊とは言え、個人の年収に対して融資希望金額が高すぎる場合、金融機関から返済が困難と判断され、融資希望額の再検討を促される可能性があるでしょう。

【まとめ】防衛省内の融資制度を優先的に利用しよう

自衛隊の方には、住宅貸付や財形持家融資などの優遇的な制度が用意されています。そのため、一般的な民間企業にお勤めの方に比べれば、比較的家を買いやすい立場と言えるでしょう。

家の購入をお考えの自衛隊の方は、まずは防衛省内で用意されている融資制度の利用をおすすめします。その上で不足分が出た場合には、その部分のみをフラット35などの民間融資で埋めるという流れが理想的でしょう。