2024.05.08

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注文住宅で高窓を取り入れるメリット・デメリットを解説

注文住宅におすすめ!太陽光を活かせる高窓とは

高窓とは

「高窓(ハイサイドライト)」とは、壁面の高い位置に取りつけた窓のこと。外からの視線を遮るために身長以上の高さに作られるのが特徴のひとつです。天井や最上階以外に設置できない「天窓(トップライト)」とは違い、窓の位置を自由に決められるので廊下や階段・吹き抜けの装飾としても有効。窓からの景色は楽しめませんが、家中に外気や外からの光を取り込んで明るく快適な空間を演出します。

FIXタイプ(はめ殺し窓)

FIXタイプ(はめ殺し窓)は、ガラスが窓枠に固定されて開閉ができない高窓のこと。掃除がしにくいデメリットがあるものの、強度があり隙間がないため漏水や破損のリスクが少ないのが特徴。ステンドグラスのような採光と、建物の美しさを演出する用途で使われます。

開閉式

換気に便利な開閉式の高窓には、チェーンやリモコンなどで操作できるものがあります。室内に木の葉や虫が入るのを防ぐため、網目の細かい網戸を取りつけるとよいでしょう。忌避薬剤を網に練り込んだ網戸や、マジックミラー仕様の網戸もあります。

注文住宅に高窓を作るメリット

採光性が高くなる

明るい家を建てたい人にとって、太陽光をふんだんに取り入れられる高窓は魅力的なデザインのひとつ。好きな色や形・大きさを選べるので、家全体に個性的な明るさをもたらします。
北側の寝室やロフト(屋根裏部屋)・廊下・階段・トイレ・風呂場などは、高窓によって明るさと適度な暗さを演出可能。ワット数の低い電灯でも十分な明るさなので、電気代の節約にもつながります。

プライバシーを守れる

高窓はプライバシーを守りたい人に向いています。壁面の高い位置に窓があるため、隣家や通行人から見えるのは天井部分だけ。「掃き出し窓」や「腰高窓」とは違い、カーテンを開けていても窓から家の中をのぞかれる心配がありません。
ただし、隣家が2階建て以上だと高い位置から家の中が見える可能性はあるので、建物の配置を確認したりブラインドを設置したりといった予防策が必要です。

壁面を活用しやすくなる

採光を気にすることなく、壁面を自由に使えるのが高窓のメリット。持ち込んだ家具の置き場所に困り、掃き出し窓の一部を覆ってしまうケースがよくありますが、高窓なら問題ありません。
窓下に大きな家具を置けるので、生活導線や収納の問題をある程度解決できます。

室内がすっきりと感じられる

高窓は「視線の抜け」を利用して、室内を広くすっきりと見せる効果があります。
「視線の抜け」とは、狭い部屋でも広さや開放感を感じさせる設計のテクニックのこと。部屋の上部に高窓を設置すると、自然と斜め上に視線が集中します。意識が空間上部にいくので実際の部屋面積よりも広く感じられる効果があり、狭小住宅の吹き抜けリビングや階段の壁面などに活用されています。

効果的に換気できる

気密性の高い住宅において、高窓は部屋を効果的に換気できる機能性の高い設備です。
部屋の上部にたまる熱い空気を高窓から逃しながら空気の流れを作り、他の窓から外気を取り入れる設計にすれば、最低限のエアコン使用で快適な室温を保てます。季節や風向き・周囲の環境といった条件を踏まえて、効果的な高窓を設置しましょう。

注文住宅に高窓を作るデメリット

窓掃除が難しい

手の届かない高さにある高窓は、掃除が大変なのがデメリットのひとつ。開閉式の窓は網戸やレール部分などにたまったホコリ掃除が必須ですが、高所なので道具が揃っていても自分でやるのは危険。専門業者にメンテナンスを依頼する方がよいでしょう。
外からのホコリを防ぐには、窓ガラスと枠が一体になった「FIXタイプ」の高窓が有効です。掃除に困る高さの窓に採用すると、お手入れの手間が省けます。

開閉が大変

高窓に一般的な窓に使われる錠を使用すると、開閉に手間がかかってしまいます。椅子や脚立を使えば届く高さであっても、鍵は無理なく開けられるものを選びましょう。高窓には一般的な窓用の「錠」のほかに、ハンドルをくるくると回す「ハンドル錠」・ボールチェーンを使った「オペレーター錠」など、力を使わずに簡単に開閉できる錠が揃っています。
施錠忘れが心配な人には、防犯システムへの加入やFIX窓の設置が無難です。

チェーンや開閉ハンドルが邪魔

高窓から開閉用のチェーンが垂れ下がっていると、インテリアの邪魔になったり小さな子どもがいたずらしたりと、便利な施錠方法も住む人によっては悩みのタネです。その場合、導入費用は掛かりますが、リモコンの全自動型開閉装置が便利。チェーンやハンドルが邪魔にならないよう、あらかじめ家具の配置も含めたトータルデザインでカバーする方法もあります。

設置位置によっては室内が暑くなる

家の中に太陽光を取り込む高窓は、設置する場所や種類によっては室内を暑くしてしまうリスクがあります。
夏の強い西日や南側からの太陽光が入る位置にFIXタイプの高窓を作ると、熱くなった空気を逃がすことができずに部屋中に熱気が滞留してしまいます。開閉式を採用するほかに、直射日光の入らない北側に高窓を設ければ、明るさと室温が一定に保たれた部屋を作れます。

高窓をつけたいおすすめの場所

リビング

リビングの高窓は隣家のプライバシーに配慮しながらも、家族がくつろげる空間を演出してくれます。座った時に高窓が視界に入るようにソファを置くと、部屋に広がりや奥行きを感じられるのがメリット。ただし高窓の下にテレビを設置すると、外からの光で画面が見えにくくなるので気をつけましょう。
リビングとダイニング・キッチンが一体になったLDKの場合は、収納や生活動線のバランスを優先しつつ採光しやすい位置を考えてみてください。

道路に面した部屋

道路や住宅密集地に面した部屋には、住む人のプライバシーを守りつつ室内の明るさを確保する目的で高窓がよく採用されます。
道路や隣家からの視線を遮る高窓を作るコツは、設置位置と窓自体の縦幅を狭めること。必要な太陽光を取り入れられる高さを維持しつつ、窓の向こう側からは壁しか見えない位置に設置すれば、人の目が気にならない明るい部屋が作れます。

寝室

寝室のベッド側に高窓を設置すると、自然光を受けながらの気持ちのよい目覚めが期待できます。
寝室の方角や太陽光の角度・季節によって変わる日照時間・日差しの強さなどを考えて、高窓の配置を決めるのがポイント。光が強過ぎる季節を考慮し、すりガラスや電動式ロールスクリーンを使って明るさを調整するとよいでしょう。

浴室

浴室を明るく開放的にするために、高窓の活用は有効な方法のひとつ。防犯やプライバシーに配慮して、周囲から見えない角度に高窓を設置しましょう。すりガラスやステンドグラスといったデザイン性が高い窓ガラスを使うのもよい方法です。
結露によるカビを防ぐためには、こまめな掃除と換気が必要。換気扇を併用すると素早く湿度を抑えられます。

トイレ

トイレに高窓をつけるメリットは「採光が取れる」「換気ができる」「狭さによる圧迫感が軽減される」の3つ。注意点には、トイレの室温が低下することで起きる「ヒートショック」と「防犯面の心配」が挙げられます。
ヒートショックの防止には2枚の合わせガラスで空気層を作る二重窓の使用が一般的。防犯にはFIX窓のほかに、目隠しを兼ねた面格子を設置する方法があります。

子ども部屋

子ども部屋の窓を高窓にすると、光を適度に取り入れながら冷気や騒音が入ってくるのを防げるほか、子どもが小さなうちは落下防止策としても有効です。
窓から入ってくる光の量が一定している北向きの子ども部屋は、勉強に集中するのに向いていますが、冷えすぎないようにこまめに温度を調節してください。

廊下・踊り場

廊下や階段の壁面に高窓をつけると、太陽の光を取り込んださわやかな空間をもたらします。おすすめは細長いスペースにはめ込む「スリット窓」。階段の踊り場や吹き抜けなどに複数の「スリット窓」をつけると、光と影の美しいコントラストが生まれ、階段の昇り降りが楽しくなります。

注文住宅における高窓の有用性とは

令和4年、建築基準法の改正で採光設備の規制が緩和されて、高窓の配置やデザインの自由度が高まりました。規格住宅や建売住宅と違って、窓の位置が自由に決められる注文住宅に関心を持つ人も増えています。

窓からの採光に関する規制が緩和

家を建てる際、住宅の窓の高さに対する法律的な規制はありませんが、必要な窓の面積は建築基準法第19条3項で定められています。
従来の建築基準法では、新築住宅の開口部(窓)の面積は「原則床の総面積の1/7以上」が必須でした。近年、新築住宅やリフォーム住宅の断熱性が高まり照明や空調設備も進化したため、国は令和4年に建築基準法を改正。国土交通大臣が定めた一定の照明設備や採光方法が確保できることを条件に、住宅新築時に必要な窓の面積は「床の総面積の1/10以上」となりました。
改正建築基準法が施行された令和5年4月以降は、窓の面積が大きな家だけでなく、採光用の小さな高窓が複数ある家を建てることも認められています。窓の大きさに加えて数や位置も、好きな仕様で家づくりができる時代になりました。

高窓が果たす採光効果

高窓は天井に近い高い位置から光を取り込むので、窓の面積が小さくても部屋全体を明るくします。一般的な「腰高窓」よりも採光効果に優れ、「掃き出し窓」のように窓から外への「熱損出」が起きにくいのが強み。温かい空気が上昇する性質を利用する効果的な換気で風通しもよくなり、冷暖房費の節約や家の長寿命化にも貢献しています。
一次エネルギー消費量を削減する「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」や、太陽光や風の向きなどの自然エネルギーを活用して省エネルギーをめざす「パッシブデザイン」の家とも相性がよく、デザイン性と採光効果が高くプライバシーを守れる高窓は、これからも多くの新築・注文住宅に導入されていくことでしょう。

※参照元:国土交通省 報道・広報「改正建築物省エネ法等の一部を施行し、省エネ対策の加速化を推進します」:https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000941.html
※参照元:国土交通省 パブリックコメント 「照明設備の設置、有効な採光方法の確保その他これらに準ずる措置の基準等を定める件の一部を改正する告示案に関する意見募集の結果について」:https://kijunhou.com/wp-content/uploads/2023/03/t15522072401.pdf
※参照元:e-GOV 法令検索「建築基準法第19条」:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325CO0000000338

高窓を活用した注文住宅を建てるために

壁面の高い位置に取りつける高窓は、好きな位置に設置できて、外の光や空気を取り込みながらプライバシーを守れるのが特徴。「つける位置によっては暑くなる」「開閉が大変」「掃除に手間がかかる」などのデメリットは、工務店との綿密な打ち合わせで解決できます。高窓を上手に活用して、明るく住みやすい家を建てましょう。

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