家を買うなら早い方が良い理由とは?

家を買うならなるべく早いほうがいいのでしょうか?それとも、ある程度の年齢まで働き、一定の貯蓄が貯まって余裕が生まれてからのほうがいいのでしょうか?

どちらにも一長一短はありますが、「まだ若いから家を買うのは早い」という理由だけで住宅購入を先送りすることは、おすすめできません。若くても「家を買いたい」という気持ちがあるならば、積極的に住宅購入を検討していきましょう。

早いうちに家を買えば大きなメリットを得られる

何歳に家を買っても、その年齢なりのメリットはあります。しかしながら、早いうちに家を買った時に得られるメリットは、特に大きいとお考えください。
早いうちに家を買う主なメリットを3点ほど確認してみましょう。

住宅ローンの返済期間を「最長」で設定できる

大半の金融機関では、住宅ローンの最長返済期間を35年と設定しています。また、完済の上限年齢を80歳としています。
この年齢条件の中で住宅ローンを組む場合、仮に申込みした時点での年齢が50歳ならば、完済の上限年齢から逆算して返済期間は30年まで。

一方で、仮に申込みした時点での年齢が45歳以下なら、最長返済期間の35年に設定できます。
最近では、最長返済期間を40年とする金融機関も見られるようになりました。早いうちに住宅ローンを組めば返済期間を長く設定できることになるため、その分、月々の返済が楽になります。

昇給・昇格によって返済が楽になっていく

仮に20代の早いうちに住宅ローンを組んだ場合、返済がはじまった当初は、生活に余裕はないかもしれません。思うように貯蓄もたまらず、焦ることもあるでしょう。

しかしながら、一般的には30代、40代と年齢が進むにつれて、昇給・昇格によって収入が増えるもの。収入が増えても住宅ローンの返済額が増えるわけではないので、相対的に返済が楽になっていきます。生活にも余裕が生まれ、貯蓄も貯まりやすくなるのではないでしょうか。

余裕のある老後生活を送れる

若い間は自分の老後生活をイメージできないかもしれませんが、今どれほど若くても、やがて必ず老後が訪れます。

老後の主な収入源は年金。現役時代に比べて収入が激減するため、節約生活を余儀なくされるでしょう。ここに住宅ローンの返済が残っていれば、生活が厳しくなるかもしれません。

早いうちに家を買っておけば、現役時代に住宅ローンの返済を終えられる可能性が大。退職金と年金で余裕のある老後生活を送れるでしょう。

リスクやデメリットも理解しておく

早いうちに家を買えば、上記の通りに大きなメリットを得られます。一方で、早いうちに家を買うことには、リスクやデメリットもあることを理解しておかなければなりません。主なリスク・メリットを確認しておきましょう。

希望する金額を借りられないかもしれない

年齢が若く勤続年数の少ない人は、金融機関のからの融資金額が低めに設定される可能性もあります。場合によっては、イメージしていたグレードの住宅の販売金額に届かず、改めて家のグレードを検討し直す必要が出るかもしれません。

ライフスタイルや人生設計が変わるかもしれない

若い頃のライフスタイルやイメージしていた人生設計は、40代、50代になっても続いていくとは限りません。
一戸建てを買ったものの、趣向が変化してマンション暮らしをしたいと思う可能性もあるでしょう。あるいは、子供が生まれて想定以上に家族が増える可能性もあります。介護が必要になった親が自宅で同居することになるかもしれません。

将来、ライフスタイルや人生設計が変化した際、若い頃に買った家で対応できないこともあり得ます。将来の不確定要素を多く抱えていることは、早いうちに家を買うリスクの1つとして覚えておいたほうが良いでしょう。

早いうちに家を買う時の注意点

早いうちに家を買う際には、以下の3点に注意しましょう。

家の購入で貯蓄を使い果たさない

少しでも家のグレードを上げるため、住宅ローンに加えて貯蓄からも資金を回すことは問題ありませんが、家の購入代金に充てるために貯蓄を使い果たすことは避けましょう。

家を購入して新生活がスタートした後は、住宅ローンの返済の他にも様々な出費が必要となります。場合によっては、収支がマイナスになる月もあるでしょう。
イレギュラーな出費に備え、一定額の貯蓄を残す形で家を買いましょう。

住宅ローンの上限額まで借りない

住宅ローンの申込みをすると、金融機関から「融資可能上限額」が提示されますが、必ずしも上限額まで借りる必要はありません。上限額までの範囲内で、希望する金額を決めて住宅ローンの契約を結ぶことになります。

中には、少しでも良い家を買いたいとの思いから、上限額の全額を借りたいと思う人がいるかもしれませんが、融資額が大きくなればなるほど返済額も大きくなります。世帯の生活に無理のない範囲で契約金額を決めるようにしましょう。

将来的な家族構成の変化を考慮した間取りにする

パートナーとの同居を前提に家を買う場合、将来的に家族構成が変化する可能性も考えて間取りを検討する必要があります。
想定以上にお子様が増えることも考慮し、リフォームしやすい設計にしておいたほうが良いかもしれません。

大企業勤務でなくても早いうちに家を買うことは可能

「早いうちに家を買いたいけど、自分の収入では無理」と考えている人がいるかもしれませんが、住宅ローンを組むにあたり、必ずしも大きな年収を条件とされるわけではありません。

住宅ローンを組むために必要な年収は?

住宅金融支援機構が公表している「2021年度 フラット35利用者調査」によると、同機構の住宅ローンを利用した人のうち、22.2%が「世帯年収400万円未満」。「世帯年収600万円未満」も加えると、実に全体の62.3%にもなります。

世帯年収とは、同一世帯の合計年収のこと。例えば、ご主人の年収が300万円で奥様の年収が200万円ならば、世帯年収が500万円となり、一般的に住宅ローンを組んでいる世帯の年収に十分達します。
大企業勤務ではなくとも、若い一般的な会社員世帯の収入の範囲内で、問題なく住宅ローンを組むことが可能です。

物件種別ごとの20代の住宅購入者比率

同じ資料をもとに、物件種別ごとで20代が占める購入者比率を見てみましょう。

  • 注文住宅…9.2%
  • 土地付き注文住宅…18.9%
  • 建売住宅…15.7%
  • 新築マンション…11.1%
  • 中古戸建…10.7%
  • 中古マンション…9.2%

物件種別によって比率が異なりますが、20代で家を買っている人は、決して少なくありません。とりわけ「土地付き注文住宅」は、購入者全体のうち約5人に1人が20代となっています。

※参考:住宅金融支援機構|2021年度 フラット35利用者調査

【まとめ】早いうちに家を買うのがおすすめ

早いうちに家を買うことへ躊躇する主な理由は、「住宅ローンの返済が心配だから」「将来、ライフスタイルが変わったら後悔するから」といったところでしょうか。

金融機関は、住宅ローンの申込みにあたり、申込者の収入や返済可能性をしっかりと審査します。基本的に、生活と返済を両立させられないような金額を融資することはありません。現状の収入が続く見通しならば、過剰に返済を心配する必要はないでしょう。

また、将来ライフスタイルが変わり、家を買ったことを後悔することがあるかもしれませんが、失敗したと思ったらやり直せるのが若い人の特権です。40代、50代になってから家を買い、のちに後悔したとしても、やり直すことはほとんど不可能でしょう。

家を買うなら早いうちがおすすめです。20代、30代の若い方々でも、ぜひ前向きに住宅購入を検討していきましょう。