家を買うのに最適な年齢というものはあるの?

家を買うタイミングにおいて、年齢を1つの基準とする考え方があります。
住宅ローンさえ無理なく返済できるならば、何歳で家を買っても問題ありませんが、老後の収入減を考慮すれば、おのずと家を買う適正年齢という考え方が浮かんでくるでしょう。
ここでは、年齢を基準に家を買うタイミングについてリサーチ・考察しています。

家を買う年齢に正解はないが…

家を買うべき年齢について「正解」はありません。
住宅ローンを返済できる見通しがあるならば、20歳で家を購入しても良いでしょう。また、住宅ローンを組む必要のない貯蓄があるならば、80歳で家を購入しても問題ありません。
ただし、一般的な考え方に立てば、「余裕をもって住宅ローンを返済できる収入になった年齢」で、かつ「無理のない年齢に住宅ローンの返済を終えられる年齢」に家を買うのが理想。その点から見れば、多くの方にとって「30代から40代前半」が家を買う適正年齢となるのではないでしょうか?

物件種別ごとの購入年齢の比率

家を買う適正年齢の参考として、住宅金融支援機構が公表している「2021年度 フラット35利用者調査」を参考に、物件種別ごとの購入年齢の比率を見てみましょう。

注文住宅

  • 20代…9.2%
  • 30代…32.3%
  • 40代…24.6%
  • 50代…16.4%
  • 60代以上…17.5%

土地付き注文住宅

  • 20代…18.9%
  • 30代…43.8%
  • 40代…23.0%
  • 50代…8.7%
  • 60代以上…5.6%

建売住宅

  • 20代…15.7%
  • 30代…37.7%
  • 40代…27.1%
  • 50代…12.3%
  • 60代以上…7.2%

マンション

  • 20代…11.1%
  • 30代…31.5%
  • 40代…25.7%
  • 50代…18.5%
  • 60代以上…13.2%

中古戸建て

  • 20代…10.7%
  • 30代…29.6%
  • 40代…31.6%
  • 50代…19.2%
  • 60代以上…8.9%

中古マンション

  • 20代…9.2%
  • 30代…28.5%
  • 40代…31.6%
  • 50代…20.9%
  • 60代以上…9.8%

データをご覧いただくとお分かりの通り、新築物件(注文住宅・土地付き注文住宅・建売住宅・新築マンション)の購入年齢層は30代が最も多く、次いで40代。一方で中古物件(中古戸建て・中古マンション)は40代が最も多く、次いで30代が多い結果となっています。

※参考:住宅金融支援機構|2021年度 フラット35利用者調査

30代から40代前半に家を買った場合

新築でも中古でも、最も購入件数が多いと考えられる30代から40代前半。仕事も安定し、家庭のライフプランも構築されつつある年齢です。
30代から40代前半に家を買う主なメリット・リスクを確認してみましょう。

30代から40代前半に家を買うメリット

一般的な住宅ローンの返済上限期間は35年ですが、仮に30歳で住宅ローンを組めば、概ね定年退職のタイミングで返済が終わることになります。40歳で住宅ローンを組むと完済年齢は70歳を過ぎてしまうかもしれませんが、40歳ならある程度の貯蓄もあると思われるため、頭金を多めに入れるなどして無理なく返済ができるのではないでしょうか。
また、30代や40代前半であれば、通常はまだお子様が独立している年齢ではないので、お子様の成長を考慮した間取りに設計できます。お子様の意見も取り入れながら、楽しく家づくりを進められるでしょう。

30代から40代前半に家を買うリスク

30歳頃に住宅ローンを組めば、概ね定年退職のタイミングで完済できますが、30代後半や40代前半に住宅ローンを組んだ場合、完済できる年齢が70歳以降になるかもしれません。
70歳でも現役で働いていれば問題なく返済できるかもしれませんが、収入が年金のみの場合、返済が厳しくなるかもしれません。無理なく返済するためには、上述の通り、頭金を多めに入れておくことがポイント。返済に不安がある方は、退職金による繰り上げ返済も1つの方法です。

20代に家を買った場合

住宅ローンを組んで家を買う年齢として、「まだ20代は早すぎるのでは?」と感じる方がいるかもしれませんが、先にご紹介した住宅金融支援機構のデータによると、例えば「土地付き注文住宅」の購入者のうち約20%は20代です。家を買う年齢として、20代は決して早すぎる年齢ではありません。
20代で家を買う主なメリット・リスクを確認してみましょう。

20代に家を買うメリット

20代で家を買う最大のメリットは、何より住宅ローンを早く完済できる点です。仮に25歳で35年返済の住宅ローンを組んだとしても60歳で完済。近年は定年退職年齢を65歳としている企業も増えてきたため、現役のまま住宅ローンを完済できるかもしれません。
定年退職後は、退職金と年金をそのまま生活費に回せるので、余裕のある老後生活を送れるでしょう。

20代に家を買うリスク

20代で家を買うきっかけは、主に結婚や出産。愛するパートナーやお子様と暮らす夢のマイホームを手に入れたことは幸せですが、まだ20代と若いため、以後も家族構成が変わっていく可能性があります。
仮に年収が300万円ほどの場合、借り入れできる住宅ローンの金額は1500万~2000万円ほど。第2子、第3子とお子様を授かれば、やがてお子様の成長とともに家が手狭に感じられてしまうかもしれません。

40代後半以降に買った場合

40代後半や50代とは言え、まだまだ現役です。中には会社の役員となり、年収が大幅にアップしている方もいるでしょう。
40代後半で家を買うメリット・リスクを見てみましょう。

40代後半以降に家を買うメリット

一般的に、40代後半や50代になれば、子育ても一段落していることでしょう。結婚前のお子様が同居している可能性はあるものの、基本的には「夫婦の第二の人生のための住まい」という考え方で家づくりを進められます。
夫婦だけの住まいであれば、間取りをコンパクトにまとめても大きな問題がないため、住宅購入コストを抑えられる可能性があります。バリアフリーや平屋など、老後生活も考慮した設計にすることも可能です。

40代後半以降に家を買うリスク

40代後半で住宅ローンを組む場合、金融機関から返済期間の短縮を求められる可能性が高いでしょう。
返済期間が短ければ、月々の返済額は高くなります。収入が年金のみの場合、住宅ローンの返済で生活が圧迫される恐れもあるので注意しましょう。退職金で繰り上げ返済する方法もありますが、老後の生活費を考えれば、退職金の全額を返済に充てることは推奨できません。

【まとめ】70歳頃までには住宅ローンを完済しているイメージを持つ

家を買う年齢に「正解」はないものの、一般的な年収・貯蓄状況に鑑みれば、30代から40代前半に買うのが理想的かもしれません。多くの銀行では、住宅ローンの返済上限年齢を80歳と設定しているため、老後の収入減を考慮し、遅くとも70歳頃までには住宅ローンを完済しているイメージを持って家の購入を検討すると良いでしょう。
もとより、十分な金融資産があり住宅ローンを組む必要のない方ならば、80歳でも90歳でも家を建てられます。ご自身の収入や貯蓄に応じ、それぞれ適切な年齢で家の購入を検討してみてください。