共働き夫婦が家を買う時の注意点・住宅ローンの目安は?

夫婦共働きで家を買う場合のポイント・注意点、世帯年収に応じた住宅ローンの融資額の目安、利用できる住宅ローンの種類などをご紹介しています。住宅ローン控除なども考慮の上、より世帯にとって適切な住宅ローンを検討していきましょう。

共働き夫婦が家を購入する前に押さえておくべき3つのポイント・注意点

共働き夫婦が家の購入を検討するにあたり、押さえておきたい3つのポイント・注意点をご紹介します。

夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組むべきかどうかを検討する

共働き夫婦がそれぞれの収入を合算して住宅ローンを組んだり、それぞれが別々で借りた住宅ローンの金額を合わせたりすれば、夫婦どちらかが単独で住宅ローンを申し込んだ場合に比べて高額の融資を受けられます。融資の額が高い分だけ、選択できる住宅の幅も広がるため、より満足度の高い家を手に入れられるでしょう。

その一方で、将来夫婦が離婚や別居となった場合、家の処遇について揉める可能性が高いことも考えておかなければなりません。共働き夫婦が双方の収入を基に住宅ローンを組み、かつ共有名義とした住宅は、夫婦どちらかの一存で自由に処分することはできません。

いつまでも夫婦円満であることが何よりですが、全ての夫婦において離婚のリスクがゼロではないことも頭の片隅に置いておくべきでしょう。

夫婦それぞれのライフスタイルの変化を考えてローンを検討する

夫婦共働きでの収入を前提に住宅ローンを組んだとしても、将来にわたってずっと夫婦共働きであるかどうか定かではありません。

例えば、夫婦に子供が生まれた場合、しばらくの間は夫婦どちらかが育児のために仕事を休むことになるでしょう。その後、育児休暇が終わって予定通りに職場復帰する方もいれば、予定を変更してそのまま主婦(主夫)として家事や育児が中心の生活に入る方もいます。

住宅ローンを借りる際には、夫婦それぞれのライフスタイルや子育て観、教育観などを考慮することが大事です。もし、将来的に一方が仕事を退く可能性もある場合、共働きの収入を前提に住宅ローンを借りると返済に苦労することがあるのでご注意ください。

本当に賃貸より購入のほうが良いかどうかを考える

20代や30代などの若い世帯の場合、本当に賃貸より購入のほうが良いかどうかを、しっかりと考えた上で結論を出しましょう。

「老後まで住み続ける終の棲家」というイメージで家を買うなら問題ありませんが、出産や育児、転職などの将来的なライフイベントに応じてフットワーク軽く生活していきたいという夫婦の場合、購入よりも賃貸のほうが合っていることもあるので十分に考えてみましょう。

持ち家と賃貸住宅のメリット・デメリットをよく比較し、周りの世帯の意見は参考程度に留めつつ、自分の世帯のライフスタイルや将来像に合った選択肢をよく検討することが大切です。

夫婦共働きだと住宅ローンはいくら借りられるか?

住宅ローンを申し込むと、金融機関から想定以上の金額が提示されることもありますが、その金額は貸付限度額。貸付限度額を全額借りる必要はなく、その範囲内で無理のない妥当な金額を契約する形となります。

この際、無理のない妥当な金額を検討するために登場する考え方が「返済比率」。「年間返済額÷額面年収」で算出され、一般的には「20%以内」に収まる金額なら無理のない借入と言われています。
以下、夫婦合算した世帯年収をベースに、返済比率20%となる金額を見てみましょう。

【世帯年収別】返済比率20%となる住宅ローンの目安

  • 世帯年収300万円の場合…1683万円
  • 世帯年収400万円の場合…2245万円
  • 世帯年収500万円の場合…2806万円
  • 世帯年収600万円の場合…3368万円
  • 世帯年収700万円の場合…3929万円
  • 世帯年収800万円の場合…4490万円
  • 世帯年収900万円の場合…5051万円
  • 世帯年収1000万円の場合…5613万円

※借入条件

  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
  • 金利:1.310%(全期間固定金利)
  • ボーナス払い:なし
  • 他借入:なし

なお、住宅ローンの金額の目安を推定する方法として、返済比率のほかにも、完済年齢からの逆算や年収倍率などを基準とした方法などがあります。

共働き夫婦が組める住宅ローンのパターンは3種類

共働き夫婦が互いの収入を合わせて住宅ローンを借りる場合、主な契約の方法には「ペアローン」「収入合算/連帯保証型」「収入合算/連帯債務型」の3種類があります。夫婦のどちらかが単身で借りる場合も含め、それぞれのパターンの特徴を見てみましょう。

単独ローン

夫婦共働きであっても互いの収入を合わせず、一方の収入を基にして単身ローンを組む世帯も多くあります。

この場合、夫婦の収入を合わせて組むローンよりも借入限度額は低くなりますが、将来的に無理のない返済ができる点はメリット。また、万が一契約者が返済途中で死亡したとしても、団信(団体信用生命保険)から残債が全額支払われるため、残された配偶者に返済義務が残らないことも安心材料になるでしょう。

比較的コンパクトな借入で済ませたい世帯ならば、仮に夫婦共働きだったとしても、単身ローンのみで十分かもしれません。

ペアローン

ペアローンとは、夫と妻がそれぞれ別々で住宅ローンを組む方法です。例えば夫が単独で3000万円の住宅ローンを組み、妻が単独で1000万円の住宅ローンを組み、それぞれを合算して4000万円の家を買うイメージとなります。ペアローンを組む場合、夫は妻の、妻は夫の連帯保証人になるよう求められます。

契約、住宅ローン控除、団信、所有権などの関係は次の通りです。

  • 住宅ローンの契約者…夫と妻の両方が契約者
  • 住宅ローン控除…夫と妻の両方に適用
  • 団体信用生命保険(団信)…夫と妻の両方が加入
  • 家の所有権…夫と妻の両方にあり

夫と妻が別々で住宅ローン控除を受けられる点は、ペアローンの大きなメリットと言われています。

収入合算/連帯保証型

夫婦の収入を合算し、その合算した収入を基に夫婦の一方が契約者、他方が連帯保証人となる住宅ローンです。

契約者は1人ですが、単身ローンとは違って夫婦の収入を合算することが前提となるため、借入可能額は単身ローンよりも多くなります。

例えば夫が契約者となって妻が連帯保証人となった場合、契約、住宅ローン控除、団信、所有権などの関係は次のようになります。

  • 住宅ローンの契約者…夫
  • 住宅ローン控除…夫のみに適用
  • 団体信用生命保険(団信)…夫のみに適用
  • 家の所有権…夫のみにあり

連帯保証人は団信に加入できないため、万が一連帯保証人が死亡しても、引き続き契約者には住宅ローンの返済義務が残り続けます。

収入合算/連帯債務型

夫婦の収入を合算し、その合算した収入を基に一方が「主たる債務者」、他方が「連帯債務者」となる住宅ローンです。例えば夫が「主たる債務者」となって妻が「連帯債務者」となった場合、契約、住宅ローン控除、団信、所有権などの関係は次のようになります。

  • 住宅ローンの契約者…契約者は夫で妻は連帯債務者
  • 住宅ローン控除…夫と妻の両方に適用
  • 団体信用生命保険(団信)…夫が加入(フラット35の場合は妻も加入)
  • 家の所有権…夫と妻の両方にあり

ペアローンの場合と同様、夫婦ともに住宅ローン控除を受けられる点は大きなメリットと言えるでしょう。

住宅ローン控除について

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に応じて所得税が控除される制度です。

残高の1%が控除される形となるため、仮に住宅ローンの年末残高が2000万円だった場合、最大で20万円の控除を受けることが可能です。

勤務先の年末調整を行って20万円が戻ってくる、とイメージすれば良いでしょう。控除期間は最長10年となります。

住宅ローンを契約すれば誰でも控除の対象となりますが、すでに説明した通り、ペアローンや収入合算/連帯債務の場合には、夫と妻の両方とも住宅ローン控除を受けられることになります。

【まとめ】世帯のライフスタイルに合った住宅ローンを選びましょう

夫婦共働きで家を買う場合、夫婦の収入を合算した「債務保証」や「連帯保証」として融資を受けたり、ペアローンとして実質的な合算金額をベースに融資を受けたりすることが可能です。そのため、夫婦のどちらかが単独で融資を受けることに比べ、より高い金額の融資を受けられることになるでしょう。

いずれの方法を選択するにしても、返済責任や住宅ローン控除、団信の適用等で取り扱いが異なります。それぞれの違いをしっかりと理解し、世帯のライフスタイルに合った適切な住宅ローンを選びましょう。