消防士が家を買う際に知っておくべきこととは?

警察官とは異なり、基本的に官舎などが用意されていない消防士。一部の自治体では寮を用意している例も見られますが、基本的には緊急出動できるよう管区内(消防署のある市区町村内)に住むこと以外、住居に関する規定はありません(市区町村によります)。

結果として消防士の住まいは、賃貸住宅かマイホーム(家を買う)かの二択。ここでは、家を買う予定の消防士の方に向け、知っておきたい大切なポイントをご紹介しています。

消防士は消防署管区内または隣接市区町村に住むのが原則

市区町村の雇用条件にもよりますが、基本的に消防士は消防署管区内(消防署のある市区町村内)に住むこと、または隣接する市区町村内に住むことが原則とされています。

消防士は、急な災害の発生等により、24時間いつ呼び出されるか分からない職種。災害現場への急行命令が下された際、「深夜で電車が動いていないので現場に行けません」「今から車ですぐに出ますが、現場まで約4時間掛かります」では、消防士として失格です。

そのため、いつ何時でも現場へ急行できるよう、多くの自治体では消防士に消防署管区内の近くへ住むよう取り決めています。

家を買う際には一度上司へ相談し、家を建てても良いエリアの目安を確認するようにしましょう。

消防士でも住宅ローンの審査に落ちることがある

住宅ローンの審査において、一般的にもっとも合格しやすいと言われる職種が公務員。収入が高く安定的で、退職金も十分。民間企業とは違って倒産の心配もなくリストラの可能性も低いので、融資をする銀行にとって、公務員は大変ありがたいお客様となります。

もちろん消防士も公務員なので、住宅ローンの審査では優遇される立場。特殊な事情のない限り、審査で不合格になることはないでしょう。

ただし、いかに公務員とは言え、次のような事情がある方は不合格になることもあるのでご注意ください。

クレジットカードやキャッシングなどの滞納履歴がある

過去の一定期間において、クレジットカードやキャッシングなどの滞納があった場合、住宅ローンの審査に不合格となる場合があります。

「うっかり引き落とし口座への入金を忘れていた」という理由で滞納となった場合でも、金融事故情報として一定期間にわたり信用情報機関に履歴が残るため、十分に注意する必要があります。

特に注意したいのが携帯電話の分割払い。携帯電話を分割で購入した場合、月々の請求金額には、電話料金のほかにクレジットからの引き落とし分も含まれています。

本人には電話料金の滞納だけという自覚しかなくても、実際にはクレジットの滞納も伴っている格好となるので注意が必要です。

健康面に問題がある

返済中の債務者に万が一のことが生じた場合に備え、銀行は債務者に対し、団体信用生命保険(団信)への加入を融資条件とすることが一般的。しかしながら、団体信用生命保険は生命保険の一種である以上、健康面に何らかの問題があれば加入できないこともあります。

もし団体信用生命保険に加入できなかった場合、公務員とは言え審査が不利に働くことも理解しておきましょう。

年収から逆算して買える家の価格をイメージする

住宅金融支援機構が公表しているデータによると、住宅購入における平均年収倍率は、物件種別ごとで次のようになっています。

  • 注文住宅…6.8倍
  • 土地付注文住宅…7.5倍
  • 建売住宅…7.0倍
  • マンション…7.2倍

年収倍率とは、家の購入価格が年収の何倍に相当するかを示した数値のこと。例えば年収500万円の方が土地付注文住宅を買う場合、年収の7.5倍に相当する3750万円程度の家を検討する人が多い、という意味になります。
消防士の場合、全年齢・全地域の平均年収はおおむね635万円ほど。仮に土地付注文住宅を購入するならば、「635万円×7.5倍」で、約4763万円の家を検討できることになります。一般的な土地付注文住宅はもちろんのこと、ゴージャスな高級注文住宅も夢ではありません。

※参照:住宅金融支援機構|2021年度 フラット35利用者調査

思いっきり自由な家を建てる

国家公務員や県職員、民間企業社員などの場合には、将来的に遠方への転勤が決まり、せっかく購入した家を手放すことになる可能性もあります。そのため、中には家族のライフスタイルを全て詰め込んだ自由設計の家や、ハイグレードで贅沢な家の購入に躊躇する方も少なくありません。

一方で消防士は市区町村に所属する公務員となるため、転勤は頻繁にあるものの、転居を余儀なくされるような転勤はほとんどなし。お子様を転校させる必要もないので、自由に家を建てても問題ありません。

注文住宅で実績のある工務店などに相談し、家族のライフスタイルや夢を一杯に詰め込んだ完全自由設計の家を考えてみましょう。

【まとめ】消防士は家を買うに適した職種

一般的には住宅ローンの審査が有利になる消防士。家を買うエリアに制約はあるものの、逆に言えば転居を伴う転勤はないということでもあります。他の多くの職種と比べれば、消防士は家を買うに適した職種と言えるのではないでしょうか。

マイホームの購入をお考えの消防士の方は、家族全員で楽しく話し合いながら、みんなが笑顔になれる理想的な家を検討していきましょう。