20代で家を買うのは早すぎる?20代からの購入計画

30代、40代になると念願のマイホーム購入が現実味を帯びてきますが、中には早くも20代にしてマイホームを手に入れる人がいます。
上司や先輩から見れば、「少し早すぎるのでは?」と心配になるかもしれませんが、しっかりと会社で働き続ける覚悟のある20代ならば、決して早すぎる決断ではありません。むしろ、20代で家を購入するメリットもあります。

20代で家を買う人の比率はどのくらい?

「20代で家を買った知り合いなんていない」という声が聞かれそうですが、実際には、意外にも20代で家を買っている人は少なくありません。住宅金融支援機構が公表している「2021年 フラット35利用者調査」を参考に、物件種別ごとの20代の購入者比率を見てみましょう。

物件種別ごとの20代の購入者比率

  • 注文住宅…9.2%
  • 土地付き注文住宅…18.9%
  • 建売住宅…15.7%
  • 新築マンション…11.1%
  • 中古戸建…10.7%
  • 中古マンション…9.2%

目を見張るべきは、「土地付き注文住宅」と「建売住宅」の比率。土地付き注文住宅を購入した人の約20%、建売注文住宅を購入した人の約15%は、実に20代という結果です。
20代で家を買うことは決して珍しいことではないことを、まずは理解しましょう。

※参考:住宅金融支援機構|2021年度 フラット35利用者調査

20代で家を買うメリット

20代で家を買う主なメリットを3点ほど見てみましょう。

住宅ローンの返済期間を長く設定できる

多くの金融機関では住宅ローンの返済期間を最長35年としていますが、その一方で完済上限年齢を80歳としている金融機関も多いため、年齢によっては返済期間を35年に設定できないこともあります。
その点、20代ならば最長の35年で設定しても問題なし。仮に25歳で35年返済の住宅ローンを組んでも60歳で完済します。
近年では、返済期間を最長40年とする金融機関も増えてきました。まさに20代のための住宅ローンと言えるような商品です。

老後の生活にゆとりが生まれる

20代で住宅ローンを組めば、定年退職の前後には住宅ローンを完済することが可能。退職金や年金を返済に回す必要がないので、老後の生活にゆとりが生まれます。
将来の年金受給に不安を覚える人が多い中、早くも20代から心穏やかでいられるのではないでしょうか。

収入が増えれば返済が楽になっていく

まだ20代と若いので、今後、仕事を多く覚えていく過程で年収が上がっている可能性大。年収が上がっても月々の返済額はそのままなので、相対的に住宅ローンの返済が楽になっていくでしょう。

20代で家を買うデメリット・リスク

20代での住宅購入には大きなメリットがある反面、20代ならではのデメリット・リスクもあります。主なデメリット・リスクを3点ほど確認してみましょう。

人生設計が変わるかもしれない

20代はまだ若いことから、当初イメージしていた人生設計が、将来的に大きく変わっていく可能性もあります。
例えば、転勤や海外赴任、転職など。プライベートにおいても、当初の想定以上にお子様が増えて家族構成が変わるかもしれません。あるいは、考えたくありませんが、パートナーと別居・離婚となる可能性もゼロではありません。
人生設計が大きく変化することで、住宅ローン返済中の家が足枷になる可能性もあります。

価値観やライフスタイルが変わるかもしれない

20代ならば、「たとえコンパクトな家でも、なるべく都会的な場所に家を持ちたい」と考える人も多いでしょう。
しかしながら、年齢が重なるにつれて「広い間取りのある家を建て、郊外の穏やかな環境で暮らしたい」という考え方に変化していくかもしれません。あるいは、「一戸建てに憧れていたものの、やはり利便性の良いマンションのほうがいい」と感じるようになるかもしれません。
20代と若いからこそ、将来の価値観やライフスタイルの変化を予想しにくく、結果として後悔する買い物となる恐れがあります。

金融機関から借りられるローンの金額が少ない

相対的に年収が低く勤続年数が短い20代は、たとえ住宅ローンの審査に合格したとしても、借りられるローンの金額は想定以下となるかもしれません。
想定以下の金額しか借りられなければ、住宅の大きさ、場所、スペックなどについて妥協せざるを得ないでしょう。

20代で家を買うために必要な年収

年収に対する住宅の適正価格として、「年収倍率」という考え方があります。
物件種別によって年収倍率は異なりますが、例えば「土地付き注文住宅」の年収倍率は7.4倍とされています。
この7.4倍という年収倍率をもとに、現状の年収に対する土地付き注文住宅の適正価格を算出しました。

  • 年収300万円…約2200万円
  • 年収400万円…約2960万円
  • 年収500万円…約3700万円
  • 年収600万円…約4400万円
  • 年収700万円…約5180万円

ここで言う年収とは「世帯年収」を指します。
例えばご主人の年収が300万円で奥様の年収が200万円の場合、世帯年収は500万円となるため、土地付き注文住宅の適正価格は3700万円になります。
世帯年収200万円台の場合には住宅ローンを組めない可能性もありますが、世帯年収300万円台ならば、住宅ローンを組める金融機関も少なくありません。

20代で家を買う時の注意点

20代で家を買う際には、20代ならではの注意点があります。以下、主な注意点を4つほど確認しておきましょう。

融資上限額まで借りない

少しでも理想に近い家を手に入れたい気持ちは分かりますが、金融機関から提示された融資上限額まで借りることはおすすめしません。
お子様が生まれた時やパートナーが仕事を辞めた時など、出費が増えたり収入が減ったりすることも想定し、無理のない金額で融資を申し込むことが大切です。

一定額の預貯金は残しておく

少しでも返済を楽にするためとは言え、預貯金の大半を頭金に入れないようにしましょう。
家を購入して新生活を始めると、様々な使途でお金が必要になります。特に、お子様が生まれれば、成長とともに出費が増えていくでしょう。仕事が不安定にならないとも限りません。
住宅購入のために使える預貯金と、その後の生活のために使う預貯金とを分けて管理するようおすすめします。

家族構成の変化を考慮して間取りを設計する

住宅購入後、夫婦で長く生活していれば、家族構成が変化する可能性が高いでしょう。お子様は1人を予定していたものの、2人、3人になるケースも珍しくありません。
間取りを考える際には、リフォームしやすい間取りにするなど、将来の家族構成の変化も考慮する必要があります。

買い手が付きやすい家を建てる

将来の価値観や生活環境、家族構成等の変化により、購入した家を手放す時が来るかもしれません。そのような時に備え、なるべく買い手がつきやすい家を建てるよう意識しましょう。
例えば、立地が良ければ買い手がつきやすくなります。また、オリジナリティやこだわりが強すぎる家よりも、シンプルでリフォームしやすい家のほうが買い手はつきやすくなるでしょう。

【まとめ】ライフプランの変更を考慮しながら理想のマイホーム実現を

20代で家を購入するメリット・デメリット、注意点、家を買う年収の目安などについてご紹介しました。

安定収入のある20代ならば、借り入れ金額の上限は低くなる可能性があるものの、基本的には住宅ローンの審査に合格するでしょう。
ご紹介した通り、20代での住宅購入には、30代や40代にはないメリットがあります。将来のライフプラン変更などを十分に考慮しながら、理想のマイホーム実現を目指していきましょう。