この記事の目次
注文住宅にEVコンセントは設置しておくべき?
EVコンセントとは?
EVコンセントとは主に電気自動車を充電するコンセントのこと。
家屋の外壁やスタンド形式で設置されます。
充電の仕組み
充電方式は大きく分けて普通充電と急速充電の2つがあり、その違いは、どの段階で直流に変換しているかにあります。
電気自動車に充電する際には、電力会社から供給されている交流の電気を直流に変える必要がありますが、普通充電は充電器からは交流の電気を流し込み、車載の充電器で直流に変換しバッテリーに充電しています。
急速充電は充電器の時点で直流に変換しているので、車のバッテリーに直接電気を送り込むことが可能です。
注文住宅に設置するEVコンセントには、車載充電ケーブルで車と接続して普通充電を行うタイプが多く見られます。
充電設備の違い
コンセント式の充電設備は、車載充電ケーブルを使って充電します。普通充電のみで、急速充電には対応していません。
国内で販売されている電気自動車なら、どのタイプでも充電が可能。充電設備に充電ケーブルとコネクターが付いているタイプもあります。
急速充電に対応している設備は、EVスタンドによく設置されているタイプです。
車載充電ケーブルが不要なタイプがほとんどですが、一部に専用ケーブルが必要な車種があります。
これらの充電専用設備のほか、車から充電設備に充電できるV2H(充放電器)なら車のバッテリーを非常用電源として活用可能です。
充電スピードの違い
普通充電と急速充電の大きな違いは充電スピードの差。
容量40kWhのバッテリーをゼロから満充電する所要時間は、一般的なEVコンセントによる普通充電の出力3kWで約13時間、急速充電器の50kWなら1時間足らずです。
自宅に駐車して充電するには普通充電が、移動途中に短時間で充電するには急速充電が向いています。
使用スタイルの違い
注文住宅に設置するなら、長時間駐車ができる環境なので普通充電で十分です。
急速充電は短時間で充電できて便利な反面、設備の設置費用が高額になるため一般利用には向いていません。
急ぎの充電が必要な場合は最寄りの充電ステーションで急速充電を利用するなど、状況によって使い分けるのがおすすめです。
EVコンセントを新築時に設置するメリット
工事費用が安く抑えられる
新築時なら、設計段階からEVコンセントの配線や設備の取り付けが容易なため、工事費用を安く抑えられます。
後から工事をするとなると壁に穴を開ける作業などが必要になるため、工事は大がかりになり費用も高くなるでしょう。
最初からEVコンセントの設置を考慮に入れた電気系統の設計をしておけば、安定した電力環境を構築できます。
バッテリー容量にもよりますが、自宅充電なら満充電1回にかかる電気代は2,000円程度なので、充電ステーションを利用するよりも安く済みます。
長期的な運用コストも合わせて考えると、工事費用が安い新築時に設置するのは賢明な選択かもしれません。
※参照元:経済産業省:https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/05_jidosha.html
将来的に必要になる可能性がある
今は必要なくても、将来的に電気自動車を購入してEVコンセントが必要になることはありえます。
電気自動車の普及率は年々上昇していますし、日本政府は2035年までに乗用車の新車販売における電動車の割合を100%とする目標を掲げており、クリーンエネルギー車の購入に対して補助金給付も実施しています。
自動車メーカー各社も政府の動きを受けて続々と電気自動車のラインナップを増やしており、将来的にEVコンセントの必要性はより高まってくるはずです。
充電以外での使い道がある
EVコンセントの使い道は電気自動車の充電に限りません。分電盤の切り替えができるタイプを選べば、普通の屋外用コンセントとして使うことも可能。庭やガレージでの高圧洗浄機・掃除機・工具の使用のほか、エクステリアライト・防犯カメラ・クリスマスの電飾などにも使えて、屋外での電源供給に便利な設備となります。
EVコンセントを設置する次のチャンスとは
新築するけどEVコンセントを設置する決断ができない・もう家を建ててしまったという方は、次のようなタイミングで設置を検討することをおすすめします。
注文住宅をリフォームする時
リフォーム時も新築時と同じくEVコンセントを設置するのにふさわしいタイミングの1つ。建物全体のデザインや機能を見直す際に、EVコンセント設置も考慮に入れておくとよいでしょう。
リフォームでは壁を取り外すなどの作業を伴うことがあるため、配線やコンセント設置がスムーズに行えます。
他の電気設備や機器の更新に合わせて電気系統を見直すことも可能。
EVコンセント設置工事が安くできるだけでなく、電気設備全体の安全性や効率アップも期待できます。
電気自動車を買った時
当然ながら、電気自動車の購入時はEVコンセントを設置すべきタイミングです。
充電するたびに充電ステーションまで出かけるのは効率が悪く割高なので、電気自動車を買うなら自宅に充電設備を設置するのは必須条件といえるでしょう。
現状、新築時やリフォーム時と比べると単独の設置工事は割高ですが、電気自動車関連は進化が著しい分野なので、今後より高性能で低価格な設備の発売も期待できます。
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注文住宅にEVコンセントをつける際の注意点
EVコンセントはやや高めの位置に設置しよう
EVコンセントの取り付け位置は、通常の屋外用コンセントよりもやや高めの「地面から1メートル程度」がおすすめです。
コンセントと車を接続する車載充電ケーブルは大きくて重いため、高すぎたり低すぎたりすると抜き差しする作業が大変になります。
また、水はねが気になるほど低い位置にあると漏電の心配もあります。
EVコンセントは盗電防止策が大切
屋外に設置するEVコンセントは盗電の危険にさらされるため、特に長期間留守にする場合は盗電防止策を忘れないよう注意しましょう。
盗難防止策としては、室内スイッチを設置するのが賢明。使用しない時はスイッチをオフにしておけば、外部からは使用できなくなります。
室内スイッチを設置するのが難しい場合は、鍵つきのコンセントカバーを取り付ける方法もあります。
EVコンセントは必要な電流を考えて配線する
電気自動車の充電には大容量の電力を消費するため、充電に必要な電流を流せる配線にする必要があります。
一般的な家庭用のコンセントと同じ100Vでも充電は可能ですが、それでは時間がかかりすぎるため、200Vにするのが一般的。
また、従来のEVコンセントは200V15Aが中心ですが、近年では200V30Aでの充電に対応して高速で充電できる車種が増えてきているため、これからEVコンセントを設置するならVVFケーブル2.6mmのような200V30Aの電流に対応した配線にしておくほうがよいでしょう。
200V30Aでは1時間で6kWhの充電ができ、1時間で3kWhしか充電できない200V15Aと比べて2倍の速度で充電が完了します。これは多くの車種において一晩でフル充電できる速度。性能を最大限に発揮できる設備を用意しておけば、効率的に充電ができるでしょう。
電力会社にEVコンセントを設置することを通知する
EVコンセントを設置する際は電力会社に連絡し、使用する容量を満たす契約に変更してください。
充電時には200V15Aで15A、200V30Aでは30Aの電流が流れます。
200V30Aのコンセントを利用するのであれば、少なくとも40A以上の容量での契約が必要です。
EVコンセントと同時にその他の電気機器を稼働することを想定し、必要な電流容量を計算して契約を見直しましょう。
エアコン・電子レンジ・ドライヤーのような消費電力が大きい家電を同時に使用すると、ブレーカーが落ちる可能性があります。
ブレーカーが落ちると電気機器に悪影響を与えるので、安全で快適な利用のためにも必要な容量を満たす契約に変更するのを忘れないようにしましょう。
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