2023.10.26

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断熱とはどういう意味?遮熱との違いや種類、メリット・デメリットを徹底解説

住み心地のよい家づくりには、「断熱」は欠かせない要素のひとつです。
断熱の正確な意味や、新築住宅で断熱性を高める方法を知りたい方も多いでしょう。
今回は、断熱の定義や、断熱性を高めるメリット・デメリットについてくわしく解説します。
断熱性を備える工法や断熱材の種類も解説しますので、家づくりの参考にしてみてください。

断熱とは?定義について

断熱とは、外と室内との熱の出入りを遮ることを意味します。
熱の出入りを遮ると、常に室内を快適な温度に保てるため、夏は涼しく、冬は暖かい家になります。
断熱効果を高めるには、断熱性能の高い建材を取り入れて、外気温の影響を受けにくくすることが重要です。

断熱性能を表す指標となるのが「外皮平均熱貫流率(UA値)」です。
UA値は、開口部などを通過して、室内の熱がどのくらい外に逃げるのかを数値で表しています。数値が低いほど、熱が逃げにくく、断熱性の高い家になります。

断熱と遮熱の違い

1年中住みやすい家をつくる上で、「断熱」と「遮熱」はとても重要な要素です。2つを組み合わせて使い分ければ、快適性を格段に上げられます。

断熱は、外と室内の熱の移動を防いで、室内を過ごしやすい温度に保ちます。

一方、遮熱は、夏場の強い陽射しを室内に取り込まないようにして、建物内部の温度上昇を抑えます。

断熱や省エネ住宅についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

省エネ住宅基準の断熱、断熱材とは?[1] 」

住宅に断熱が重要な理由

住宅の断熱性を高めることは、地球温暖化を抑制する対策として非常に重要です。

地球温暖化の原因である二酸化炭素は、電気やガスなどのエネルギー生産時に排出されます。

断熱性能の高い住宅は、冷暖房機器の使用頻度が抑えられるため、二酸化炭素の排出量を削減可能です。環境に優しいだけでなく、光熱費の節約にもつながります。

日本でも温暖化対策の一環として、2025年4月以降、省エネ性能の基準を満たさない新築住宅は、建築を認められなくなります。

現行法では、省エネ基準への適合義務対象は延床面積300㎡以上の建築物(非住宅)となっていますが、2025年以降は300㎡未満の住宅も対象になります。

家づくりでは、間取りやデザインだけではなく、断熱性能についても十分検討することが大切です。

参考:国土交通省 「改正建築物省エネ法[1] 」

断熱の6つのメリット

住宅に断熱性を備えるメリットを、6つ紹介します。

● 1年中快適に過ごせる
● 冷暖房費を削減できる
● 温度差が小さくなり過ごしやすくなる
● 家族の健康を守れる
● 常に新鮮な空気を取り込める
● 結露の発生を抑えられる

ひとつずつ、くわしく解説します。

1年中快適に過ごせる

住宅に断熱性を備えれば、外気温に左右されにくく、外の暑さや寒さの影響を受けない家づくりが可能です。

夏は、外の熱気が室内に侵入しにくくなります。また、冷房で冷やされた空気も外に逃がさないので、涼しい室温を維持できます。
冬は、外から冷気が入りにくく、室内で暖められた熱を外へ逃がしません。常に、暖かい室温をキープします。

断熱性を高めれば、夏は涼しく、冬は暖かい家になり、季節を問わず心地よく暮らせます。

冷暖房費を削減できる

冷暖房にかかる電気代やガス代を削減できる点も、断熱性を高めるメリットのひとつです。

断熱性を備えると外気温の影響を受けにくくなり、少ないエネルギーでも効率的に過ごしやすい室温になります。

たとえば、魔法瓶の水筒に入れたお湯は長時間温かさを保てますが、保温性のないペットボトルに入れたお湯はすぐに冷めてしまいます。ペットボトルのお湯を再度温めるためには、電気やガスを使用しなければなりません。

断熱性を備えた家は、魔法瓶のように家中の温度を保てます。冷房の温度は高めに、暖房の温度は低めに設定しても、快適な室温になります。

光熱費の削減はもちろん、冷暖房器具も負荷がかからず長持ちしますよ。

温度差が小さくなり過ごしやすくなる

断熱性の低い家では、同じ部屋の中でも温度のムラが発生しがちです。
暖房を稼働させても暖かい空気は上部にたまり、外気で冷やされた壁や床の近くは温度が低くなります。「暖房をつけているのに何となく寒い」と感じるのはこのためです。

一方、断熱性の高い家では、外気に影響されず室内の熱も逃げにくいので、部屋全体をムラなく適温に保てます。

暖房のある部屋と、ない部屋との温度差も小さくできます。
家中の温度差が小さくなれば、活動しやすくなり、暑さや寒さを気にせずに暮らせるでしょう。

家族の健康を守れる

部屋ごとの温度差が小さくなると、急激な温度変化が原因で発生するヒートショックのリスクも下げられます。
ヒートショックとは、暖かいリビングから室温の低いトイレや浴室へ移動したときなど、急激な温度変化が体に健康被害を及ぼす現象です。

急激な温度変化によって、血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中といった疾患を引き起こすおそれがあります。
家中の温度差を小さくすることは、家族の健康を守る対策としても有効です。

参考:消費者庁「消費者への注意喚起[1] 」

常に新鮮な空気を取り込める

高断熱の家は、断熱性と同時に気密性も高められます。
気密性が高くなると、換気が不十分になってしまうと心配する方もいるかもしれません。
現在では、常に新しい空気を家の中に取り込めるよう、改正建築基準法によってすべての新築住宅に24時間換気システムなどの換気設備の設置が義務付けられています。

自動的に換気が行われれば、建材などが発散する有害な化学物質が引き起こすシックハウス症候群も予防できます。フィルターによって花粉やPM2.5、黄砂などの侵入も防げます。

結露の発生を抑えられる

断熱性の高い家は、部屋の温度をムラなく一定に保てるので、結露の発生を抑えられます。

結露は、冬場、家の中と屋外の温度差が大きいとき、窓ガラスなどに発生します。

これは、外の冷気によって窓の近くの空気が冷やされるためです。

壁の内部や床下などで結露が起こると、木材が腐食したりシロアリが発生したりする場合もあるほか、カビやダニの繁殖の原因にもなります。構造材が損傷すると、建物の寿命を縮めかねません。

高温多湿な日本で家の断熱性を高めることは、住まいを長持ちさせるためにも重要です。

住宅を断熱する方法

住宅に断熱性を備えるには、次の3つの方法があります。

● 家全体を断熱する方法
● 開口部を断熱する方法
● 日射遮蔽する方法

それぞれくわしく解説します。

家全体を断熱する方法

外気に接している部分全体を断熱材で包み込む方法です。
壁や床、天井、屋根など、建物全体に断熱材を取り入れます。

室内の熱は、壁や床、天井など、至る所から出入りするため、部分的な断熱はあまり効率的ではありません。建物全体を覆うように断熱材を取り入れることが重要です。

断熱を施す面積が広いとコストがかかりますが、家全体の断熱化によって、より効果的に家の環境を整えられます。

開口部を断熱する方

熱が出入りする割合が最も多いのは、窓やドアなど、開け閉めがある開口部です。

次の表を見てわかるように、開口部では多くの熱の出入りがあります。

◆熱の出入りの割合

熱が出入りする場所 室内の熱が流出する割合 屋外の熱が侵入する割合
開口部 58% 73%
外壁 15% 7%
屋根 5% 11%
7% 3%
換気 15% 6%

出典:一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「平成11年省エネ基準レベルの断熱性能の住宅での試算例」

開口部は、家全体の中で最も熱の出入りが多い場所だとわかります。つまり、窓など開口部の断熱を高めれば、熱の出入りを大きく抑えられます。

窓の断熱性を上げるには、断熱性能の優れた窓ガラスやサッシを選びましょう。
窓ガラスは、単板ガラスよりもペアガラスやトリプルガラスのほうが、断熱性が高くなります。
サッシは、アルミ製より樹脂製や木製のほうが断熱性能が高いです。ペアガラスやトリプルガラスと組み合わせるとよいでしょう。
断熱リフォームでは、既存の窓の室内側に、もうひとつ窓を取り付ける二重窓(内窓)を設置するのも効果的です。

断熱仕様の玄関ドアを選択したり、玄関前に風除室を設けたりするのも断熱性の向上に有効です。

日射遮蔽する方法

太陽光による熱を、家の中に入れない遮熱対策も重要です。
夏に窓ガラスを通して強い日差しが入り込むと、室内の温度が上がり、冷房効率が下がります。
太陽光を遮蔽するには、次のような方法があります。

● ブラインドやカーテンを設置する
● 遮熱効果のある窓ガラスを選ぶ
● 庇(ひさし)やオーニングを取り付ける

ブラインドは、室内よりも屋外に取り付けるタイプのほうが、熱を遮蔽する効果が期待できます。
南面の窓で日差しが強い場合は、深めの軒や庇を設けたり、オーニングやすだれを設置したりするのもよいでしょう。

断熱の種類とそれぞれの特徴

断熱材を設置する位置によって、断熱の種類が分けられます。
主に用いられるのは、充填断熱工法(充填断熱)と外張断熱工法(外張り断熱)の2つの工法です。それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。

充填断熱工法(充填断熱)

充填断熱工法とは、壁の内部や柱の間など構造材の間に断熱材をつめる工法です。内断熱とも呼ばれます。
断熱材には、ボード状やシート状、粒状のタイプがあり、使用する場所によって使い分けられます。木造住宅で多く採用されている断熱工法です。

メリット
 ● 設置スペースをとらない
 ● 外張り断熱より費用が安い
 ● 断熱性能が劣化しにくい
 ● 断熱材の選択肢が多い

構造材の間に断熱材を入れる充填断熱工法では、特別な設置スペースが要りません。
その分、材料費や施工費もかからず、外張断熱工法に比べて費用を抑えられます。
断熱材が風雨にさらされず、断熱性能が劣化しにくい点もメリットのひとつです。
充填断熱工法では、使用できる断熱材の種類が多く、防火性能が高い素材や自然素材など、最適な断熱材を選べます。

デメリット
 ● 施工技術によって品質に差が出る
 ● 防湿・気密性を確保する工事に手間がかかる
 ● すき間や厚みの差が生じやすい

充填断熱工法では、壁内結露を防ぐために、気密性と防湿性を確保する工事を行います。
気密・防湿処理の施工は手間がかかり、施工技術も必要です。
施工者の技術や精度によって、品質にばらつきが出やすいので、業者選びが重要になります。
また、配線や配管部分などで断熱材のすき間や厚みの差が生じやすくなり、局部的に断熱性能を損なうおそれがあります。

外張断熱工法(外張り断熱)

外張断熱工法とは、鉄筋コンクリートや木の柱など、構造体の外側に断熱材を取り付けて断熱する工法です。外壁、屋根、基礎と、建物全体を断熱材ですっぽりと覆う点が特徴です。

一般的には、鉄筋コンクリート造で構造体の外側に断熱材を取り付ける工法を「外断熱」と呼びます。これに対して、木造や鉄骨造の住宅で、柱の外側に断熱材を設置する工法を「外張り断熱」と呼び、区別されています。

◆メリット
 ● 気密性が高い
 ● 結露が発生しにくい
 ● 安定した断熱性を維持できる

建物全体を断熱材で覆う外張断熱工法では、気密性を高められます。外の熱が入り込むすき間をつくらず、結露やカビが発生しにくい点も強みです。
建物の壁内結露のリスクも低く、建物を長持ちさせられます。
充填断熱工法のように柱などで断熱材が途切れることなく、安定した断熱性を保てます。

デメリット
 ● 充填断熱工法より費用が高い
 ● 外壁が厚くなる
 ● 断熱材が変形する場合がある

外張断熱工法は、充填断熱工法と比べて施工が難しく、施工費の相場が高めです。
構造体の外側に断熱材を取り付ける分、外壁が厚くなる点もデメリットのひとつです。
設置するスペースを確保しなければならず、間取りや敷地面積が制限されるケースもあります。
地震や木材の収縮などがあると、外壁にゆがみや変形が生じ、断熱材にすき間が生じる可能性があります。

使用される断熱材の種類とそれぞれの特徴

断熱材には多くの種類があり、大きく分けると「繊維系」と「発泡プラスチック系」に分けられます。断熱材の種類や特徴、メリット・デメリットについて解説します。

繊維系

素材を繊維状にして凝縮させたものです。繊維の間に空気を含むことで、断熱性を確保します。
代表的な繊維系の断熱材について紹介します。

グラスウール
ガラスを繊維状に加工した断熱材です。
価格が安く、断熱性にも優れており、多くの住宅で天井、床、壁など幅広く使われています。
原材料がガラスのため、燃えにくく、シロアリなどの害虫にも強いです。吸音性にも優れ、防音効果も期待できます。

デメリットは、吸湿性の低さです。正しく施工されていないと壁内結露を引き起こすリスクがあります。

◆ロックウール
安山岩や玄武岩などを原材料にした人造の鉱物繊維です。
吹き付け用の粒状綿タイプや、ボード状、フェルト状などのさまざまなタイプがあり、多くの住宅で使用されています。
メリットは、グラスウールと同様に燃えにくく、害虫に強い点です。

デメリットは、湿気に弱く、水分を含むと断熱性能が大きく低下することです。
固定されていないと、重さで下の方にずれ落ちて、すき間が生まれやすいという欠点もあります。

◆セルロースファイバー
セルロースファイバーは、古紙を再生した繊維を原材料とした断熱材です。調湿性が高く、結露対策にも有効です。
細部まですき間なく細かい気泡を吹き付ける工法で、気密性を高められる点が強みです。

デメリットは、ほかの断熱材に比べてコストが高い点です。
密度を高めるために量を多く使用する必要があります。施工の工程も多く手間がかかる分、材料費・施工費ともに高くなります。

羊毛
羊の毛を使った断熱材です。羊毛は調湿性が高く、室内の湿度を一定に保ちやすいため、結露対策には最適です。
天然素材で、化学物質が原因となるシックハウス症候群の心配がありません。
デメリットは、国産品が少なく輸入品に頼る結果、価格が高めになる点です。
断熱材としては新しい素材で施工業者が限られるので、業者探しに手間がかかる可能性もあります。

◆炭化コルク
コルク樫の樹皮を原材料として、炭化させた自然素材の断熱材です。空気の気泡を多く含むコルクは、断熱性に優れています。
天然の防虫成分によって、害虫も寄せ付けません。
ワインの栓として使用されているように、耐水性や耐久性がある点もメリットのひとつです。
デメリットは、希少性の高さから高額になりやすく、取り扱っている業者を見つけるのが難しい点です。

発泡プラスチック系

発泡プラスチック系の断熱材は、プラスチック(石油)を原材料とした断熱材です。
プラスチックを発泡させ、細かい気泡の中に空気やガスを含ませて、断熱性を確保しています。
住宅で多く使用されている発泡プラスチック系の断熱材について、3つ紹介します。

◆ポリスチレンフォーム
ポリスチレンを主成分として難燃剤を加えて発泡させ、成形したものです。発泡プラスチック系の断熱材としては最も一般的で、広く使用されています。水や湿気に強く、雨にぬれても断熱性能が低下しにくい特長があります。

火や熱に弱い点が、デメリットです。
難燃剤を加えていても、防火性は高くありません。火気の取り扱いには注意が必要です。

◆ウレタンフォーム
ウレタンフォームとは、ポリウレタンを発泡させた断熱材です。食器を洗うスポンジや、ソファーのクッション材としても使われています。
発泡プラスチック系断熱材の中でも、特に断熱性が優れています。

デメリットは、耐火性能が低く、シロアリに弱い点です。
取り扱いが難しく、施工に手間がかかるので、費用も高い傾向にあります。

◆フェノールフォーム
フェノールフォームは、フェノール樹脂を主な原材料として、ボード状に加工した断熱材です。
フェノール樹脂は、フライパンのハンドル部分などにも使用されているように、プラスチックでありながら耐火性が高い点が特長です。

性能が高い分、価格も高く、グラスウールの3倍ほどの価格となる場合もあります。
シロアリに弱く、防蟻処理が必要です。

断熱材の種類や特徴などについてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
「住宅に用いる断熱材を徹底比較!種類・特徴・値段から見るベストな選択は?」

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まとめ

断熱とは、外と室内の熱の出入りを遮ることです。住宅の断熱性を高めれば、1年中快適な家になります。
高断熱の家は、冷暖房にかかる費用を削減できたり、ヒートショックのリスクを減らせたりと、メリットが多いです。
断熱方法や断熱材にはさまざまな種類があります。建物の構造や予算に合わせて最適なものを選びましょう。

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この記事を書いた人

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ロゴスホームのスタッフです

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